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2012.07.17.

鳥栖のがん治療施設:資金計画・黄信号!

九電頼りも限界に!

資金4億6000万円不足!


 事業費150億円のうち、計画では昨年度までに41億円を調達する予定だったが、入金実績は39億円。5月末時点で確約を取り付けた入金見込み額は全体の92%に当たる138億円で、九州電力からの39億7千万円の寄付も実行を直接確認したとして見込み額に含めている。

 県粒子線普及グループは「融資活用は民間ならではの運営方法。資金確保を含め、全体としては順調に進んでいる」としている。

 九州新幹線・新鳥栖駅前に建設中のサガハイマット。大成建設・九電工などの建設グループ施工の施設、外観はほぼ完成したのだが、運営財団の資金不足が表面化した。

 センターの事業を巡っては、事業推進委員会が2010年1月、総事業費150億円について、〈1〉寄付88億5000万円〈2〉補助金20億円〈3〉出資金41億5000万円――という内容の資金計画を立てた。

 九州新幹線・新鳥栖駅(鳥栖市)前に建設中の最先端がん治療施設「九州国際重粒子線がん治療センター」(サガハイマット)について、事業費を調達している運営財団のやりくりに早速“黄信号”がともっている。医療機器購入費など本年度の支払い分が賄えておらず、現時点で4億6千万円の資金不足が判明した。事業費の8割を占める民間資金の入金が遅れているのが要因で、財団は金融機関と融資を前提に協議を始めた。来年春の開業を前に、資金計画の“大手術”を求める声も聞こえてきた。

 「円高などで厳しい経済状況だが、鳥栖市とともに資金確保に努力したい」。7月20日の6月県議会一般質問で、古川康知事は何度も繰り返した。

 同センターは、県が旗振り役となって整備。県医師会とともに財団法人「佐賀国際重粒子線がん治療財団」を設立し、総事業費150億円の資金調達を進めている。

 県によると、2010〜11年度の支出額は年間8億円前後だったが、本年度は施設に搬入した最先端医療機器の支払いがかさみ、支出予定額は42億6千万円。一方、現時点の収入見込みは、佐賀、福岡両県の補助金(13億9千万円)や国の交付金を充てた基金(8億3千万円)のほか、民間の寄付金(4億4千万円)を加えても約38億円にとどまる。

 差し引き4億6千万円−。これから先、寄付金が入金されると不足額は圧縮されるが、県幹部は金融機関との協議に加え「10月末の医療機器の支払期限の延長もメーカー側に要請している」と明かす。

 やりくりが苦しくなったのは、資金の調達先が民間に依存していることが大きい。

 県は総事業費の8割超となる130億円について、民間の寄付金や出資金を充てる資金計画を描いている。県によると、寄付の約束を取り付けたのは103億8千万円(5月末現在)だが、実際の入金はわずか31億円(同)。本年度分も見込みを下回り、台所事情が一気に厳しくなった。

 民間資金のうち最大の調達先は九州電力。2011年度から複数年度にわたり総額39億7千万円を払い込む計画で、本年度分も既に入金済みだが、「九電側の意向」で金額は非公表。九電は原発の運転停止で業績が悪化し、地域や各種団体への支援を縮小しており、県議会には「財布の中身が減ったのは、九電の寄付減額が要因では」との見方が広がる。

 鳥栖市も資金集めに手をこまねいている。

 「がんセンターの立地自治体として20〜30億円の調達に協力する」と目標設定したが、地元の久光製薬が8億円の提供を申し出たのが際立つだけで、同社以外から集まったのは5千万円程度。市幹部は「地方には大口が少なく、資金集めには苦労している」と嘆く。

 市は財団の運営支援策として、センターの敷地(約1・2ha)を30年間無償で貸与し、固定資産税と都市計画税の3年間全額免除を決定。今年4月にはさらに13年度以降、両税の20年間免除を追加した。この結果、市の財政支援は従来の4億6千万円から14億6千万円に。「

鳥栖市は現金集めではなく、税免除の形で目標の帳尻を合わせようとしている」。県庁内にはこんな憶測が流れている。

 景気回復の足取りが鈍く、資金調達の先行きは不透明。開業が迫る中、支払いに向け、さらなる税金投入の可能性もはらむ。県議の一人は「事業を進めるためにも資金計画を見直し、税金投入の是非を含めて徹底的に論議すべきだ」と指摘した。