2012.10.04.

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露・科学アカデミー:中国の軍拡に警鐘を鳴らす!

中国の軍艦もいずれ宗谷海峡を通過する!

露・対中戦略を描けていない!


 世界が混沌とする中、中国は覇権を求め「軍拡に猛進」している。1国2制度という変速スタイルで、世界をかき回している。

 ロシア科学アカデミー極東支部のラーリン所長は、中国の軍拡に警鐘を鳴らす。昨年の中国の軍事費は1430億ドル(約11兆1400億円)とされ、ロシアの約2倍にのぼる。

 「中国は大国であり、強大な軍事力を持つ権利を有する。しかしその保有の目的を明確にすべきだ」と。

 ウラジオストクにはロシアの太平洋艦隊司令部が置かれ、プーチン大統領は5月、就任直後に出した大統領令で「ロシアの戦略的利益を守るための北極、極東での優先的な艦隊拡充」を打ち出した。中国の海洋進出拡大への関心は高い。

 ラーリン氏は「露中は2010年9月に戦略的協力関係の強化で合意した。中国は脅威ではない」と対中脅威論は控えるが、他の参加者からは「太平洋側での中国の海軍力はロシアを上回っている」(ロシア科学アカデミー極東支部のコジェブニコフ氏)「5年後に(露中をめぐる)環境がどう変化するかわからない」(同アフォニン氏)などと、厳しい認識が示された。

 実際、ロシア軍が極東で戦力強化を進める背景には、中国の脅威に対抗する狙いがあるとの指摘がある。日本の防衛省防衛研究所の兵頭慎治・米欧ロシア研究室長は、極東ロシア軍の最近の動向について「中国を除いては説明できない事例がある」と指摘する。

 7月、北極海横断を目指す中国の砕氷調査船「雪竜」が宗谷海峡からオホーツク海に入ったのとほぼ同時に、太平洋艦隊はサハリン(樺太)からオホーツク海に向け対艦ミサイルを発射する軍事演習を行った。

 オホーツク海はロシアの「軍事的聖域」だ。雪竜は砕氷船だが「ロシアは中国の軍艦もいずれ宗谷海峡を通過すると懸念している」と兵頭氏は指摘。ミサイル発射は、雪竜通過にみられる中国の海洋進出拡大ににらみをきかす狙いがあったと推測する。

 8月には、ロシア国防省がクリール諸島(千島列島と北方四島)への移動式対艦ミサイル配備計画などを公表した。兵頭氏は「国後島か択捉島にミサイルを置けば宗谷海峡が射程に入る」とし、北方領土への軍備拡張にも中国牽制(けんせい)の意味合いがあると示唆する。

 極東地域における人口問題も影を落としている。ロシア極東連邦管区の人口が628万人なのに対し、隣接する中国・黒竜江省の人口は3800万人とされる。経済面での対中依存も強まっており、それが安全保障面にも影響を及ぼすとの懸念がロシア政府にはある。しかし、ラーリン氏は「ロシア政府は明確な対中戦略を描けていない」と語り、対中関係に苦慮している現状も指摘する。