2013.04.30.

鳥インフル:中国の発表はどこまで信じられるか!


日本は早々と特別措置法を発効させた!


 3月31日に、国家衛生計画出産委員会が上海市と安徽省で感染者が2人見つかったと発表した後、現地に赴き、生きたニワトリを扱う市場や飼育場から、飲み水や土壌、ニワトリの気管などから採取した分泌物など、合計970のサンプルを集め、分析した。そのうち20のサンプルがH7N9型ウイルスの陽性反応を示したという。そして、そのすべてが上海市内の市場で採集したものだった。

 遺伝子配列などを解析する系統樹解析を行った結果、ヒトに感染したH7N9型ウイルスの遺伝子は、鳥類のH9N2型ウイルスから派生したものであることを突き止めた。さらに、市場から採集したウイルスと、ヒトへの感染を引き起こしたウイルスの系統樹を分析したところ、8つの遺伝子分節すべてで高い相似性を示したという。

 日本では、中国政府が発表するH7N9型鳥インフルエンザの患者数などに対する不信感も根強い。過去の事例を見ても、2002−03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の発生時、中国中央政府は北京市が患者数について「ごまかした」と宣言した。09年の新型インフルエンザ発生時には呼吸器疾患などの権威である鐘南山氏が、地方政府に「新型インフルエンザの可能性がある患者について、ウイルスの検査を行わない」例があるなどと、感染者数についての“ごまかしのテクニック”を暴露した。

 したがって、H7N9型鳥インフルエンザの感染者数や死者についての「中国政府の発表は信じられない」との見方も、理由がないことではない。過去の事例をみれば、地方の行政に、感染者数をごまかすなどの現象がみられた。中央政府などからの責任追及を回避することが主な動機だったと考えてよい。

 しかし、「費用面を恐れて、症状が出ているのに医療機関に足を運ばない」人が多発すれば、中国政府にとっては「ごまかし」が存在するかどうかの以前に、H7N9型鳥インフルエンザ蔓延の実態すら掌握できないことになる。感染拡大を阻止するために、一層深刻な事態が出現することになる。

 人同士の感染が確認されるような事態になれば、パニックが起きかねない。世界保健機関(WHO)と中国の衛生当局が結成した合同調査チームは4月22日、上海市で開いた記者会見で、「今のところ人から人に感染した証拠はない」との見解を示した、が。

 中国の発表する感染者数と死亡者数で死亡率が異常に高いのは、じつは本当の感染者数を知らないのではないかと疑っていることだ。一般的にインフルエンザが流行する時、事前にワクチンを製造するが、H7N9型のワクチンはまだ出来ていない。

 逆に、鳥ー豚ー人、そして人ー人と行くインフルエンザ、鳥ー人ー人の形跡は無いというが、もう人ー人の感染が起き始めているのではないかと疑っているから、安倍政権は「新型インフルエンザ対策特別措置法」施行令をきょう閣議決定し、4月13日から前倒しで施行したのがそれを物語っている。