2013.05.05.
中国の海軍増強に対抗:豪が潜水艦12隻建造へ!
電子戦機「EA―18Gグラウラー」12機購入も!
オーストラリア政府は5月3日、「国防白書」を発表した。
太平洋海域で米中の角逐が深まる中、中国の挑発行為などに対する抑止力を高めるため、新型または改良型の潜水艦12隻の建造を目指す方針を示した。
国防白書の発表は2009年以来。当初は14年の発表を予定していたが、中国が海洋進出を強め、同盟国である米国がアジア太平洋重視の姿勢を鮮明にするなど、地域の戦略環境が変化していることを受け、発表を1年前倒しした。
白書では、インドから東南アジア、北東アジアにかけてのインド洋から太平洋にまたがる地域を、豪州にとって戦略的な「焦点」と位置づけた。潜水艦建造に加え、電子戦機F/A-18Fスーパーホーネットをベースに開発された「EA―18G-Growlerグラウラー」12機の購入計画も盛り込んだ。
この機体はかなりのプレゼンスを持ち合わせた敵にとっては脅威となる航空機です。まず、この航空機に狙われたら、焼け野原になること間違いなしです。かと言って核兵器を搭載し攻撃するわけではありません。
このEA-18GのプライマリーはDEAD:敵防空網破壊が任務です。過去はSEAD:敵防空網制圧でしたが、制圧ではなく破壊です。
豪州国防軍の空軍戦力
FA-18A 戦闘攻撃機 55機
FA-18B 戦闘攻撃機 16機
FA-18F 戦闘攻撃機 24機
E-7A 戦闘機 98機
P-8A 空中早期警戒管制機 8機
AP-3C 哨戒機 19機
KC-30A 空中給油機 5機
B737 人員輸送機 2機
CL604 人員輸送機 3機
C-17A 輸送機 12機
C27I 輸送機 10機
キングエア350 軽輸送機 11機
ホーク127 練習機 33機
PC-9A練習機 63機 練習機 63機
豪州海軍・艦船隻数:67隻
潜水艦×6
フリゲート×12
掃海艇×8
哨戒艇×14
戦車揚陸艦×1
輸送揚陸艦×2
揚陸艇×6
測量艦×6
補給艦×2
練習艇×3
救難艦×3
給水艦×4
航空機数:62機(+3機)
艦載ヘリコプター×28、
陸上固定翼機×18、
陸上ヘリコプター×16(+3)
ギラード政権は400億豪ドル(約4兆円)の予算で、20年から新造潜水艦12隻を導入することを決めているが、潜水艦の形式などについて検討を続けている。日本からの技術供与を受ければ、コリンズ級潜水艦の使用年数はさらに10年延長され、新造潜水艦の導入はさらに遅れると見られる。
豪保守系シンクタンクのインデペンデント・リサーチは、国内で潜水艦の設計・建造を行わず、米国の原子力潜水艦の購入を提案している。
「そうりゅう」型潜水艦が採用するAIP機関は、動力音が原子力潜水艦よりも静かなだけでなく、大気に頼らず動力を得て長時間の潜航が可能になっている。
豪軍事シンクタンク「ココダ・ファンデーション」は、イージス・システムを搭載するホバート級ミサイル駆逐艦を、14〜17年の間に導入予定の3隻に1隻追加し、北朝鮮の大陸間弾道ミサイルの脅威に備える必要があると指摘している。国防関係者の間には、ミサイル駆逐艦を追加で建造すれば、南オーストラリア州アデレードの造船所が活用され、豪州での潜水艦建造が決まった場合のつなぎとなり、重要な国防技術が維持されるとの期待もある。
現在、豪海軍はアデレード級ミサイル駆逐艦を4隻保有しているが、僚艦防空能力に限定されている。