2013.06.06.

電力関係投資・首相表明:10年で30兆円規模に!

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2016年めど、発送電分離も!


 安倍晋三首相は6月5日の成長戦略第3弾の講演で、電力システム改革を進める方針を表明した。首相は「小売りの全面自由化と発送電分離によって、イノベーションの可能性を存分に引き出す」と強調。石炭火力発電や風力・地熱発電などの環境アセスメント見直しも進め、今後10年で電力関係投資を30兆円規模に拡大すると述べた。

 安倍晋三首相は、電力システム改革では「小売りの全面自由化と発送電の分離によって、こうしたイノベーションの可能性を十分に引き出す」と強調した。

 政府は、家庭が電力会社を選べるよう電力の小売りを2016年をめどに全面自由化することを明記した「電力システムに関する改革方針」を閣議決定した。大手電力の発電部門と送配電部門を別会社にする発送電分離は18〜20年をめどに実現を目指す。安倍晋三首相は日本経済再生本部で電気事業法改正案の今国会提出を茂木敏充経済産業相に指示した。

 電力改革は3段階で実施。今国会に提出する改正案にはまず、15年をめどに電力需給を調整する「広域系統運用機関」の設立を盛り込み、地域的な電力不足が発生するのを防ぐ。

 電力各社が海外での事業展開を加速している。電力業界は「内需型企業」の代表格だが、福島第1原発事故で事業環境が一変。日本の電力市場が今後、小売り全面自由化などを通じて競争環境が厳しくなることをにらみ、海外事業での収益基盤強化に動く格好だ。各社はこれまでに培った再生可能エネルギーや環境、送配電分野の技術やノウハウを新興国を中心に売り込みを図っている。

 九州電力は伊藤忠商事と組み、インドネシアで地熱発電事業を始める。日本の電力会社による海外での地熱発電事業は初めてとなる。

 地熱発電はアジア、アフリカなどで需要が高まっている。九州電力は国内最大の発電容量を誇る八丁原発電所(大分県)の運営などで培ってきた技術や運営ノウハウを生かして海外市場の開拓を進める考えだ。

 東京電力は4月1日に日立製作所と、送配電システムの企画などを手がける共同出資会社を設立し、営業を始めた。

 東電は、平成23年度から32年度までの10年間で海外事業に最大1兆円を投資する計画だったが、福島第1原発事故を受け、海外事業を大幅に縮小。事故後、海外で本格的に新事業を手がけるのは初めてとなる。

 新会社は、日立の原発技術や東電の発電所運営ノウハウを海外の電力会社などに提供し、発電設備の受注を目指す。

 中部電力はタイで海外初の太陽光発電事業に参入する。42年までに海外事業に累計6千億〜8千億円を投資する計画だ。

 電力各社が海外事業を拡大させるのは、原発停止による燃料費増大で収支が急速に悪化しているほか、「電力の自由化で競争環境が厳しくなる」(電力幹部)とみているためだ。

 政府は電力システム改革で小売りの全面自由化は28年、電力会社の発電部門と送配電部門を別会社にする発送電分離は30〜32年の実現を目指しており、異業種から電力事業への新規参入が本格化する。

 「将来は(電力会社同士の)統合があったり、いろんな形が考えられる」(茂木敏充経済産業相)中、電力各社は国内で電力を安定供給していくうえでも、海外事業による収益基盤の強化は欠かせないとみている。日本勢が得意とする発電効率が高い石炭火力や送配電システムへの評価も高く、電力需要が膨らむアジアの新興国からの引き合いを期待している。