2013.07.11.

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候補地は政治判断・下村文科相!

1本化する「立地評価書」を8月末!


 「巨大な加速器を使って宇宙の成り立ちのなぞに迫る」国際リニアコライダーの候補地を岩手を中心とした北上山地と九州の脊振山地の二つで争っている。建設費は、総額1兆円くらいかかる。岩手になる可能性もあるかもしれない。今度の選挙(の結果)が直接つながるとも言えないが、専門家が調査をしながら、しかし、最終的な候補地は政治的判断がある。岩手県にできたとしたら、ある民間シンクタンクは経済的波及効果を20兆〜30兆円と言っている。

 宇宙の謎を解明する次世代の巨大実験施設「国際リニアコライダー」(ILC)の計画推進を担う「ILC戦略会議」の山下了議長(東京大准教授)が7月9日、福岡市中央区のホテルニューオータニ博多で講演した。

 山下氏は、日本政府が建設地に正式に名乗りを上げることを世界各国が望んでいると説明。国内の候補地2カ所を1本化する「立地評価書」を8月末までに公表するとした上で、「どこに決まっても、実現に向けてオールジャパン態勢を築くことが最大の課題となる。特に産業振興につなげるには、民間活力のフル活用が必要だ」と述べた。

 ILCをめぐっては、脊振山地(福岡、佐賀両県)と北上山地(岩手県)が国内の最終候補となっている。講演会は福岡、佐賀両県や経済界でつくる「ILCアジア−九州推進会議」が主催した。

 建設候補地に、岩手・宮城県の北上山地と佐賀・福岡県の脊振山地が名乗りを上げ、誘致合戦を展開している。だが建設費は少なくとも8300億円かかり、半額を誘致国が負担する。及び腰の日本政府をよそに両地元は「最先端科学で地域活性化を」とヒートアップする一方だ。

 ILCは、国際宇宙ステーション(ISS)などと同じ多国間協調の巨大プロジェクト。計1240ページの分厚い技術設計書が6月に完成したばかりだ。

 万物に質量を与えたとされる「ヒッグス粒子」とみられる新粒子。それを発見した欧州合同原子核研究所(CERN)の加速器LHCの後継機だ。

 東京−横浜間にあたる全長約30kmのまっすぐな加速器でほぼ光速まで加速した電子と陽電子(プラスの電子)を正面衝突させ、生じる数々の素粒子を調べる。LHCでは衝突1兆回で1個しかできないヒッグス粒子を100回に1個作り出せる。宇宙を構成する「暗黒物質」の正体となる新素粒子の発見が期待でき、がん治療や半導体加工など幅広い応用が可能という。

 巨額の建設費のほか、研究者、家族ら約1万人の居住や年間数千人規模の雇用が見込まれ、誘致は過熱している。佐賀、福岡両県は地元経済界と誘致活動を展開。5月には両県知事が欧州を訪れ、交通至便で都市機能が整っているなどとトップセールス。駅やコンビニに横断幕を掲げるなどムード作りも進む。

 岩手県はILCを東日本大震災の復興プロジェクトと位置付け、推進協議会を設けた。担当者は「茨城県の関連研究施設に近く、新幹線や高速道などのインフラは見劣りしない」と対決姿勢を見せる。推進協は独マインツ大学の斎藤武彦教授を招き、小中学生に宇宙の成り立ちや素粒子研究を紹介する特別授業を県南各地で開催中だ。

 国内候補地の一本化については、研究者らで作る評価会議が8月中に国に提言し、“内定”する見込みだ。しかし多額の建設費負担のため立候補した国はまだなく、日本では2010年と12年に行われた政府の大型プロジェクト事業評価でC判定(優先度が最低)に。6月に始まった日本学術会議の検討委員会でも「多額の税金を投入するのだからもっと意義を説明しないと国民の合意は難しい」の声が出た。茨城県東海村の加速器施設で5月に放射性物質漏れ事故が発生したこともマイナス材料だ。

 日本生産性本部は「ILCは国際研究都市を生み、国内産業に30年間で45兆円の効果をもたらす」との夢のような試算を発表した。現状はまさに「夢のプロジェクト」を両山地が引っ張り合っている。

超大型加速器ILC:岩手・北上山地か九州・脊振山地か!