2013.08.15.

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ILC国内誘致:調査研究費は国が予算化を!

候補地の一本化大詰め!


 日本学術会議は8月12日、超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の国内誘致の是非を審議する検討委員会の第6回会合を東京都内で開いた。「誘致の是非は数年の調査を経て判断すべきだ」とした前回会合の申し合わせを踏まえ、答申では誘致に向けた調査研究費の予算化を国に求める方針を決めた。

 ILC計画の学術的意義について「十分に認められる」という認識で一致。ただ、誘致の是非については「素粒子物理学者だけでなく政府関係者や外部の有識者が2〜3年かけて調査して結論を出すべきだ」とした。

 委員長の家泰弘東大物性研究所教授は「これだけの国際プロジェクトは科学者だけでは限界がある。政府関係者が入った上で国際交渉に入ることが必須だ」と語った。検討委は29日の次回会合で答申案をまとめる。

 学術会議が文部科学省から審議要請を受けたのは
(1)ILC研究の学術的意義
(2)学術研究全体における位置付け
(3)国民、社会に対する意義
(4)建設、運営に必要な予算や人的資源の確保−の4項目。

 検討委はこれまでに、ILC研究の意義と研究全体の位置付けの2項目は認めた。建設や運営面など残る2項目に関しては、2〜3年の調査研究をした上で判断すべきだとする答申方針を固めている。

 ILCの国内候補地を1カ所に絞る研究者グループの作業が大詰めを迎えている。近く結論をまとめ、日本政府に誘致に乗り出すように働き掛ける考えだが、国がどう判断するかは不透明な部分が大きい。国が意見を求めた日本学術会議の審議では、巨額の建設費などへの懸念が出ており、研究者と学術会議、政府という三重構造が誘致活動の行方を分かりにくくしている。

 候補地の一本化作業をしているのは国内研究者8人でつくる「立地評価会議」。国内誘致を進めている研究者組織のILC戦略会議が設けた。岩手、宮城両県にまたがる北上山地と、福岡、佐賀両県の脊振山地の2カ所について、地盤の固さや地質の形状、周辺の社会インフラなどを比較している。

 関係者によると、選定作業はほぼ終了しているが「時期や方法を慎重に検討する必要がある」と、7月の予定だった発表を先送りしている。

 背景にあるのは、ILC計画の意義などを審議している日本学術会議への配慮。関係者は「候補地一本化は関心も高く、先行すると誘致が決まったかのような印象を国民に与えてしまう。学術会議にプレッシャーを与えられない」と明かす。

 学術会議は内部の検討委員会で29日に回答案をまとめ、9月にも国に答申する見込みになった。国は誘致について「学術会議と研究者組織の両方の意見を聞いて判断する」(下村博文文部科学相)方針だ。

 学術会議の検討委の審議では、ILCの学術的意義は認めている。一方で約8300億円とも試算される建設費の国際的な分担などに不確定要素が多いことに懸念の声が相次いだ。誘致の是非は2〜3年かけて精査するのが現実的で、その間に海外主要機関との交渉も進めるべきだと提言する方向になっている。

 国内誘致を目指す研究者側も、計画を精査すべきだとする方向性を冷静に受け止める。

 ILC戦略会議の議長を務める山下了東大准教授は「政府レベルで国際交渉に入らないと何も進まない。負担割合などをその後に決め、正式に誘致表明をすればいい」と交渉を先行させるよう提案する。

 立地評価会議は8月中にも国内候補地の選定結果を公表したい考えだ。ただ学術会議の答申を待つべきだとの意見もあり、流動的な面もある。

[ILC]全長31〜50キロの地下トンネルに設置する直線形の加速器。両端からほぼ光速まで加速した電子と陽電子を正面衝突させ、宇宙誕生直後の状況を再現し、宇宙の起源を探る。2010年代後半の建設開始、20年代の稼働を目指す。欧米にも日本誘致を支援する声があり、日本が最有力とみられる。