2014.04.05

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世界の2大CO2排出国:アメリカと中国!

元凶は旧型の石炭火力!



 

 米国ジョージア州にあるロバート・W・シェラー発電所。冷却塔と煙突から、蒸気と煙がもうもうと立ち上る 。年間約1100万トンの石炭を燃やすこの発電所は、米国で最も多くの温室効果ガスを排出している。

 世界で年間70億トン以上も消費されている石炭。その需要は今も増え続け、環境への影響も深刻化してきた。石炭を「クリーン」に使う方法はあるか。

 環境にやさしい「クリーンな石炭」などあり得ないと、環境保護派は言う。

 米国東部の炭鉱地帯、アパラチア山脈の山々は石炭採掘のために山頂ごと無残に削り取られ、渓流の水は酸性の物質による水質汚染でオレンジ色に染まっている。

 中国、最近の北京市内は空港ロビーの喫煙所以上に汚れた空気に包まれる日が多い。中国の大気汚染の主要な原因は石炭の燃焼だ。呼吸器疾患など、大気汚染が原因とみられる死者は年間100万人を超えるという。

 石炭は莫大な社会的代償を伴う燃料であり、最も環境負荷が大きく、最も多くの死者を出しているエネルギー源だ。しかし、燃料としては最も安い。

 石炭が環境に及ぼす影響をどこまで小さくできるかだ。石炭をまったくの「クリーンエネルギー」に変えるのは無理だとしても、少なくとも許容できるレベルまで、つまり気候が地球規模で急激に変動するのを防げる程度まで、環境負荷を抑えることは可能だろうか。

 米国では、発電所が排出する二酸化硫黄や窒素酸化物といった汚染物質については法規制が導入され、排出量を大幅に減らす効果を上げている。だが、地球温暖化の主要な原因である二酸化炭素(CO2)の問題は、これらの汚染物質とはまったくスケールが違う。

 2012年に化石燃料の燃焼により世界中で排出されたCO2は、史上初めて345億トンに達した。そのなかで最も多いのが、石炭の燃焼による排出だ。米国では天然ガス価格の下落で石炭の需要が減っているが、特に中国では需要が急増している。

 今後20年のうちに新たに電気を使う人は何億人も増える。今の傾向が続けば、その大半は石炭火力発電による電力を使うことになるだろう。代替エネルギーの利用や省エネルギーをいくら強力に推進しても、少なくとも当面は石炭火力発電をやめるわけにはいかないようだ。

 北極圏の氷の融解や海面上昇、そして、熱波などの異常気象。私たちの未来に影を落とすこうした現象が今後どの程度進むかは、世界の国々が石炭をどう利用するか、とりわけ米国と中国がどう利用するかに大きく左右される。

ナショナル ジオグラフィック2014年4月号から