2014.04.12.

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九電:火力発電の入札説明会に37社!

経産省の有識者会議が審査!

九電自社は松浦2号機で応札!


 平成23年3月の東京電力・福島第1原発事故によって戦後、地域独占を続けてきた電力会社への批判が高まった。さらに、原発の長期停止によって電力会社の供給力が落ち込み、発電単価の高い老朽化した火力発電所に頼らざるを得なくなった。

 この結果、九電をはじめ電力会社は電気料金の「値上げドミノ」に陥った。

 供給不安と電気料金上昇は日本経済の足かせとなる。政府は、家庭向けを含めた電力小売事業の完全自由化を決定し、電気事業法の改正案を今年2月28日に閣議決定した。競争環境を整えることで供給力確保と電気料金引き下げという一挙両得を狙ったといえる。

 「100万キkwの発電所はビッグビジネス。入札にぜひ参加したい」

 九州電力は4月10日、100万kwの火力発電所の導入に向けた入札の事前説明会を福岡市で開いた。商社や製造業、金融といった37社が参加した。

 経済産業省は「新しい火力電源入札の運用に関する指針」(新火力ガイドライン)で、火力発電所を増設する際、発電単価を基に入札を義務付けた。九電は石炭火力の松浦発電所2号機(長崎県松浦市、出力100万kw)の増設を計画しており、自社でも応札する。

 説明会では、平成33年6月までに発電開始することや発電実績がある企業の技術支援などを、条件として示した。

 2014年7月に入札企業の募集を始める。2015年1月に経産省の有識者会議「火力電源入札ワーキンググループ」が入札内容を審査し、同2月に落札業者を決定する。

 今国会で改正電気事業法案が成立すれば、平成28年からは、電力使用者が発電者を選べる完全自由化の時代を迎える。さまざまな企業がビジネスチャンスととらえ、電力事業への参入に舵を切った。

 九州では、西部ガスが大阪ガスなどと組んで、最大160万kwのLNG(液化天然ガス)火力発電所を平成32年までに北九州市若松区に建設する。

 神戸製鋼も平成31〜33年に、栃木県真岡市で140万kwのLNG火力発電所の建設を決めており、エネルギー関連や製鉄、商社などの参入が目立つ。

 この日の入札説明会に37社もの企業が参加したのも、電力市場への関心の高さを映し出したといえる。

 経済産業省が24年9月に策定した「新しい火力電源入札の運用に関する指針」(新火力ガイドライン)。

 電力事業者が火力発電所を新設する際に、発電単価を基にした競争入札を義務付けた。この新火力ガイドラインに沿って東京電力が実施した入札は、新日鉄住金や電源開発(Jパワー)を中心とした企業グループが落札した。関西電力も本年度内に入札を実施するが、関電自身は応札しない方針で、他社の参入が確実となっている。

 今回の九電の入札で、九電以外が落札する可能性はあるのだろうか。

 経産省電力市場整備課の担当者は「別の企業が落札する可能性は十分ある。電力事業者も相当の努力が必要とされる」と語った。

 だが、異業種がビジネスチャンスとみるのは、確実に利益を上げることができる大規模の発電事業や小売り事業に限られる。

 九電が100万kwの火力発電と同時に入札を実施する長崎・対馬の8千kwの火力発電に関しては、異業種の関心は低い。「対馬は九電だけが応札するんじゃないでしょうか」(九電担当者)。

 優勝劣敗が明確となる電力サバイバル時代はすでに幕を開けた。九電が自社で実施する入札に自ら応札し、他社と価格を競う。普通では考えられない制度といえる。

 この奇妙な入札制度に敗れ、大規模発送電事業を異業種に奪取されることになれば、九電には効率の悪い離島や島嶼部ばかりが残される。

 やはり、既設の原発再開と川内や玄海原発の増設許可が欲しいところだ。