国交省：女性技術者の配置を入札要件！

モデル事業・１０件を試行！

九州地整は総合評価や工事成績で加点

第一弾東北地整・東根地区上部工！

７月８日・開札！

　国土交通省は女性技術者の登用を促すためのモデル工事を東北地方整備局で試行する。対象は６月９日に入札公告した「東根地区上部工工事」で、女性技術者を現場に配置することを入札参加要件とする。

　国交省は、太田昭宏大臣の5月23日の衆院国土交通委員会での答弁を受け、2014年度中に女性登用型のモデル工事を各地方整備局で1～2件、全国で計10件程度を試行する方針を示している。東北地整の試行工事はその第一弾となる。

　東根地区上部工工事は、東北地整と東日本高速道路会社が建設を進めている東北中央自動車（福島県相馬市～秋田県横手市）の一部。山形県東根市に村山野川橋（2径間連続鋼鈑桁、延長63.7m）と白水川橋（2径間連続鋼鈑桁、延長68.6ｍ）の2橋を新設する。

　太田国交相の衆院答弁では、女性登用型のモデル工事として造園工事や市街地の土木工事などを例示していた。東北地整では造園工事などの発注件数が少ないことから、ほかの分野で女性登用の実績のある工事を調査した。

　工事実績情報システムのコリンズなどを活用して、2009年度から13年度の過去5年間のデータを調べたところ、橋梁上部工が東北地方だけでなく、全国的にも女性登用の実績があることから、近く発注を予定していた東根地区上部工工事で試行することに決めた。7月4日に参加を締め切り、8日に開札する。

　同工事では、主任技術者、監理技術者、現場代理人、担当技術者、専任補助者（主任技術者や監理技術者を専任で補助する技術者）のいずれかに女性技術者を配置することを求める。「入札に参加しやすくするために、女性技術者の配置対象を広めに設定した」（東北地整企画部）。ただし、女性技術者を配置しても、総合評価の加点対象にはしない。
　
　今後、各地整で同様のモデル工事を試行することになるが、「工事の中身や女性技術者に期待する内容などに応じて、案件ごとに入札参加要件が異なる可能性がある」（国交省大臣官房技術調査課）。

　例えば、九州地方整備局が5月27日に導入を明らかにした「女性技術者配置型工事」では、監理技術者か主任技術者に女性技術者の配置を求める。今夏以降に入札公告する土木工事を対象に、道路と河川の分野で1件ずつ試行する。「独自に検討してきた施策だが、試行工事2件を本省のモデル工事に充てる考えだ」（九州地整企画部）。

　九州地整ではこのほか、女性の技術者や技能者が働きやすい職環環境の整備も促す。夏以降に入札公告する全工事を対象に、家事や育児、介護などの支援体制を整えている企業を総合評価で加点する。併せて、女性技能者を施工に従事させたことが確認できた場合には工事成績で加点評価する。

　国交省は4月24日に建設業5団体とトップ会談を行い、今夏をめどに「もっと女性が活躍できる建設業行動計画（仮称）」を共同で作成することを申し合わせている。同時に、女性の技術者や技能者を5年以内に倍増する目標も掲げている。国交省の女性登用型のモデル工事も、そうした取り組みの一環だ。