2014.10.14.

米国経済:量的緩和政策終了・先はどうなる!

購入した国債や住宅担保債券など!

何時放出するのか!


先月行われたFOMC(連邦公開市場委)は、いよいよ次回会合でQE(量的緩和政策)を終了することを明らかにした。

金利をゼロ%近くまで下げてしまうと、中央銀行にはそれ以上、緩和の手段がなくなってしまう。そこで米連銀は、みずからが国債や住宅担保債券などの資産を買い入れ、市場に潤沢な資金を供給するという「非伝統的」な金融政策を行ってきた。

 QEという手法自体は、日本銀行が2001年に始めたものである。米連銀は、それをより徹底した形で実施した。特に2012年9月に始まったQE3は、毎月850億ドルずつ、年間で1兆ドルもの資産を買い入れた。その結果、米国経済はようやく回復軌道に乗り、株価は史上最高値をつけ、失業率も6%近辺にまで改善してきた。住宅市況は底入れし、自動車販売では「リーマン前」の水準に戻っている。そして昨年12月からは、米連銀が資産の買い入れ額を少しずつ減らしていく「テーパリング」が始まった。

 10月29日のFOMC以降は、とうとう買い入れ額はゼロになる。金融政策の正常化に向けた記念すべき第一歩といえる。さらに来年のどこかで、米連銀は利上げに向かうだろう。既に為替市場は、日米金利差の拡大を見込んでドル高円安に動き出している。

 それにしてもQEの結果、米連銀のバランスシートは4.5兆ドルにまで膨らんでしまった。2008年当時は、この金額は8000億ドルに過ぎなかった。これをどうやって元に戻すのか。いくら金利が安くて株価も高いとはいえ、米連銀がこれだけの資産をいきなり放出するようなら、金融市場は一気に不安定になってしまうだろう。

 現在、米連銀はQEで保有している債券が満期を迎えると、全額をそのまま買い替えしている。これを続ける限りにおいて、バランスシートは縮小しない。将来、買い替えを停止した次の瞬間から、少しずつ資産は減少し始めることになる。しかし買い替えの停止時期は明示されておらず、イエレン議長の方針は「なるべく急がない」方針であるらしい。

 そもそもQEという政策には、わかっていないことが多過ぎる。米連銀が巨額の資産を保有しているから、景気が良くなったのか。それとも、毎月一定量を買い続けてきたお陰で改善したのか。前者、つまりストックが問題なのだとすれば、現状変更ではないから回復はまだ続くだろう。後者、つまりフローに意味があるのだとしたら、買い入れを止めたことで揺り戻しが来るかもしれない。どちらが正しいかは、結果に聞いてみるしかない。

 これから先の出口政策は、経済学の教科書には書かれていない。バーナンキ、イエレンという2人の経済学者による実験結果が、分析された上で未来の教科書に記されるのであろう。

 日銀は黒田総裁による「レジームチェンジ」によって、ようやく「異次元の金融緩和」に踏み切った。そしてECBは、いまだQEに踏み出せていない。良くも悪くも、米国らしいベンチャースピリッツがこの実験を可能にした。


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