2014.11.11.

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沖縄県知事選:菅官房長官が沖縄入り・現職苦戦!

保革混在の翁長氏がリード!


 菅義偉官房長官は11月8日午前、民間機で沖縄県の那覇市に入った。16日に投開票される県知事選の立候補者と那覇市長選の立候補予定者の事務所などを回る。菅氏は9月の内閣改造で沖縄基地負担軽減担当相を兼務しており、同月にも沖縄県を訪問した。

 共同通信社は7、8両日、任期満了に伴う沖縄県知事選(16日投開票)で電話による世論調査を実施、取材結果を加味して情勢を探った。無所属新人の前那覇市長翁長雄志氏(64)がリードし、無所属の現職仲井真弘多氏(75)=自民、次世代推薦=が追う展開となっている。

 知事選に「大いに関心がある」「ある程度関心がある」が合わせて9割を超え、有権者の関心は高い。ただ2割が投票先を決めておらず、情勢が変化する可能性もある。

 翁長氏は共産、社民両党と、沖縄社会大衆党の支持層の9割超を固めた。

 仲井真氏は自民党支持層の5割超を固めたが、無党派層で2割弱と浸透し切れていない。

 30日、那覇市内の選挙事務所前で開かれた翁長雄志前那覇市長(64)の出陣式。選挙カーの上に社民、共産両党などの国会議員が集結したが、保守系であいさつに立ったのは自民党を除名された那覇市議の1人だけだった。

 「日米安保条約に理解を示すが、(基地を)押しつける理不尽さは許せない」

 翁長氏が声を張り上げると、聴衆の後方で「安保廃棄」と書かれた「のぼり」が風になびいていた。

 「宜野湾の人たちは枕を高くして眠れない。那覇の方もお互い助け合う気持ちをご理解いただきたい」

 仲井真弘多知事(75)は那覇市内での出陣式で米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に理解を求めた。自民党の谷垣禎一幹事長も見守る中、同党が擁立する那覇市長選候補者は「那覇市を知事とともに駆け、素晴らしい結果を残す」と誓った。

 仲井真氏と那覇市長選候補者の選挙事務所は約50mしか離れていないが、市長選候補者の事務所前には公明党ののぼりがある一方、仲井真氏ののぼりがない。

 「知事ののぼりは絶対立てないでくれ」

 市長選候補者が23日に事務所を開いた直後、公明党県本部幹部は自民党県連幹部に電話でクギを刺した。知事選と市長選は11月16日の同日選だが、公明党は、市長選候補者を推薦しただけで、知事選では自民党が推薦する仲井真氏の支援を見送り、平成14年から続いてきた自公両党の共闘態勢が崩壊。その上、公明党は両選挙の活動に明確な線引きを求めてきたのだ。

 公明党が知事選の自主投票を決めたのは10月だが、5カ月前に方針は固まっていた。

 「2人とも出馬しないでほしい」。公明党県本部の糸洲朝則(いとす・とものり)代表は5月、那覇市長だった翁長氏と会談し、仲井真、翁長両氏ともに知事選出馬を見送るべきだとの考えを伝えた。

 県本部は、仲井真県政、翁長市政を与党として支えてきたが、辺野古移設に反対しており、辺野古の埋め立てを承認した仲井真氏は担ぎにくい。かといって共産党など革新勢力の支援を受ける翁長氏にも乗れない。糸洲氏は「2人とも出馬せず、新しい候補者を自公の枠組みで擁立すればいい」と提案した。

 だが、翁長氏は拒否し、「今しかない」と告げた。辺野古移設反対の一点で保守、革新の両勢力を融合させて戦うには、今回の知事選しかないという意味だ。

 翁長氏を保守系として支持する那覇市議と翁長氏自身の主たる選挙地盤は那覇に限られる。ほかの地域は革新勢力の組織力などでカバーするとみられ、政府高官は「政党の枠組みは溶解しているが、基地問題をめぐる主張と選挙活動の実態は従来どおりの保守対革新の構図だ」と指摘する。

 下地幹郎(みきお)元郵政民営化担当相(53)は沖縄の政治団体「そうぞう」を離れたが、そうぞうと維新の党県総支部の支援を受ける。喜納昌吉元参院議員(66)は党本部方針に反して出馬するとして民主党を除名された。その民主党が自主投票で臨むのは、支持団体の連合が翁長氏を推薦しており、国政選挙で支援を受ける連合との足並みの乱れを避けるためだ。

 知事選の勝敗を左右するのは有権者の2割強を占める大票田の那覇だ。すでに県内を2巡した仲井真氏は告示直前、つぶやいた。

 「那覇を徹底的に攻める」