2014.12.11.

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救助艦が魚群探知機搭載:セウォル号事故には出動せず!

40年前の軍用ソナー搭載で問題に!

マグロ用魚群探知機は最新鋭!

韓国一流の言い訳が通るか!


 「最新鋭」の看板とは裏腹に40年前の性能のソナーを搭載していたと指摘され、韓国内で大問題になった海軍の救助艦「統営(トンヨン)艦」に、さらなるスキャンダルが持ち上がった。搭載されていたのは軍用ソナーではなく、漁船用の「魚群探知機」だったことが監査で明らかになったのだ。探知機自体は最新鋭でマグロ漁に適しているとされるが、韓国内では「1600億ウォン(約160億円)の税金を投入して軍艦ではなく、高性能のマグロ漁船を建造したのか」と軍や防衛当局に再び批判が集中している。

 統営艦(3500トン)は、沈没もしくは沈みかけている軍艦や潜水艦から乗員を救助、曳船するための救助艦(救難艦)として2010年起工、12年に進水した。以降、さまざまな装備の設置工事を行っていたが、海軍への引き渡し予定の昨年9月になっても完成せず。今年4月のセウォル号沈没事故でも現場に姿はなく、「無用の長物」(東亜日報電子版)などと厳しく批判された。

 さらに10月には、事故を起こした潜水艦や沈没船の位置を探る「サイドスキャンソナー」について、国政監査を行った韓国監査院が「40年前に建造された旧式の韓国軍艦と同じ水準・仕様だ」と指摘。装備品の導入を統括する防衛事業庁が勝手に要求性能を下げ、2億ウォン(約2千万円)のソナーを特定の業者から41億ウォン(約4億1千万円)で購入していた−と朝鮮日報(電子版)など現地メディアが一斉に報じ、大問題となった。

 なぜ40年前の旧式ソナーが使われていたのか、この20倍の水増し請求で浮いた差額の39億ウォンはどこへ消えたのか。不正をただすため、ブローカー(仲介業者)の米ハケンコ社や元防衛事業庁職員、軍の幹部に対し、野党議員らが中心になりさらに監査が行われた。

 その結果、判明したのは「実はソナーは軍用ではなく、漁船用のものだった」という驚愕の事実だった。

 そもそも統営艦は、米国シアトルに本社を置くWESMAR(ウエスタン・マリン・エレクトロニクス社)の軍事用ソナー「MS3850」を搭載する予定だったが、海軍では「要求性能を満たしていない」として艦の受け取りを拒否。理由については、賄賂が足りなかった▽仲介業者と軍担当者のソリが合わなかった−などと疑う見方もあるが、結局、統営艦は未完成のまま港にむなしく浮かんでいた。

 そんな時にセウォル号事故が発生し、海軍と統営艦は批判にさらされることに。

 なんとか完成≠ウせなければ−。とはいえ海軍としては、一旦「不合格」の烙印を押した「MS3850」は、「性能が低い」と言った手前使えない。一方、このままではブローカーのハケンコ社も非難の的になりかねない。

 そこで同社がひねり出した窮余の一策が「とりあえず別のものを積めばいい」ということだった。

 現地メディアのハンギョレ(電子版)などによると、ハケンコ社は5月、海洋機器メーカー、シムラッド社(ノルウェー・コングスバーグ社グループ)の魚群探知機SH90を統営艦に搭載した。これには、防衛事業庁の許可も得ていたという。

 しかし、こんな“急場しのぎ”がいつまでも通用するわけはなく、秋の国政監査でソナーの性能が明らかに。最初は40年前の旧式ソナーと指摘されたが、実際は軍用ではなく、漁船用の魚群探知機だったと判明した。

 ちなみにシムラッド社HPには「SH90 魚群探知機 高解像度、高周波数」という表記とともに、ソナーの画面があり、「北海でのツナ(マグロ、カツオ類)の群れを捕らえた様子。方向や深さ、群れの速さもよくわかる」などと説明されている。どう見てもマグロ漁船用だ。

 このことについて、渦中の防衛事業庁のキム・シチョル報道官は「海軍に早く渡すために、新しいソナー(魚群探知機)を設置したわけではない。性能評価のため、いったん統営艦に装着しただけだ」と、説明にならない説明に終始。結局、「海軍の要求性能を満たしておらず、使用できないレベル」として返却を決定したが、野党議員は「軍艦に魚群探知機を付けるとは、安全保障の放棄だ」と憤りを隠さない。

 11月26日、韓国海軍は現地マスコミを招き、釜山沖で魚群探知機を積んだ統営艦のデモンストレーションを実施。ただし魚群探知機は返却するため電源はオフの状態で、海域で仮想沈没船の真上に位置しようとした統営艦は、別の掃海艇に逐一無線で指示を受けながら
移動せざるを得なかった。

 それでも海軍は「ソナーがなくても、旧式の救助艦『光陽』(1968年建造)よりはるかに優れた能力を発揮できる」と強気を崩さず、韓国軍の合同参謀本部は「統営艦」の早期戦力化を決定した。

 ソナーはあとで装備するが、とりあえず艦は軍に配備された。いつものことだが、この「あとで買う」は韓国軍に浸透する構造的な欠陥と言っていい。

 朝鮮日報やテレビ「News1」など現地マスコミによると、戦闘機や戦車、自走砲を導入するときも、必要な補充をはじめ、交換部品や弾薬、ミサイルの購入は後回し(そして多くの場合、その後も購入しない)。

 一見すると初期導入の契約額や単純計算による1機ごとの単価は諸外国より安く見えるが、実際は入札を何十回と繰り返してしつこく値切るため、辟易(へきえき)したメーカーから“必要不可欠な付属品”を省かれただけだ。

 こうした値切りは現在も続いている。例えば今年導入を決めた米国のステルス戦闘機F−35。韓国は入札を50回以上繰り返した末、入札そのものを無効にするなど信じがたい態度に出た。

 結局は総額7兆3418億ウォンで40機を購入。1機当たり1210億ウォンと、韓国の手の届く価格で契約できたが、朝鮮日報(電子版)などによると、空対空ミサイルは必要量の45%しか購入せず、予備エンジンに至っては1基だけ。空軍は「武装などに気を配る余裕がなかった」と話したという。統営艦に本物のソナーが付く日は来るのだろうか。