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2014.12.22.

自民・二階氏:無所属議員の入党要求!

地元県連と温度差!

拡大志向は二階派だけ!


 自民党の二階俊博総務会長は12月19日の役員連絡会で、無所属の長崎幸太郎、山口壮の両氏を念頭に置いて「無所属議員をどうしていくのか」と述べ、自民党入りを求めた。両氏とも地元県連との関係が良好とは言えず、谷垣禎一幹事長は「できるもの、できないものがある」と応じた。対応次第で今後の火種となりそうだ。

 長崎氏は2005年の郵政選挙で「刺客」となって比例当選したが、09年には公認争いに敗れて離党。今回の衆院選では、自民党公認候補と争って山梨2区で当選した。山口氏は昨年末に民主党を離党後、無所属で兵庫12区に立候補して自民党県連が推す候補を破って当選した。

 2人は小選挙区で勝っているため、党幹部は「選挙結果を受け入れるのが民主主義だ」と強調。選対幹部の一人は「最後は入れざるを得ない」としており、今後、時間をかけて地元と調整していく考えを示した。

 衆院選後の恒例行事だった自民党内の各派閥の新人争奪戦が今回は低調だ。初当選はわずか15人にすぎない上、世襲により所属があらかじめ決まっている議員も少なくないためだ。そうした中、二階派を率いる二階俊博総務会長は勢力拡大に向けて独り気を吐いている。

 今回の衆院選は急な解散で世代交代が間に合わず、自民党で引退した議員はたった5人。同党の公示前勢力は295議席で、小選挙区は公認候補となる支部長がほとんど決まっていたため、新人が立候補する余地は乏しかった。2年前の衆院選では大量119人の新人議員が誕生し、各派閥は当選前から勧誘に動いたが、今回はこれらの若手議員を再選させることに力点を置いた。

 「世襲議員」も早々と所属先を決めた。最大派閥の町村派は18日の幹部会で、尾身朝子、谷川とむ両氏らの入会を内定。父はそれぞれ尾身幸次元財務相、谷川秀善元参院幹事長で、ともに町村派に所属していた。加藤紘一元幹事長の三女の鮎子氏は、旧加藤派の流れをくむ谷垣禎一幹事長のグループに入る予定だ。

 一方、二階氏だけは派閥拡張に余念がない。19日の役員連絡会で「無所属の2人を早く(自民党に)入れられないか」と、兵庫12区の山口壮、山梨2区の長崎幸太郎両氏の入復党を迫った。2人は二階派特別会員。両県連が入党に反対しているため、谷垣氏は「それぞれ事情があって、丁寧に進めていかないとできるもの、できないものがある」と答えるのがやっとだったが、両氏の入復党は認められる方向で調整が進められている。 


 衆院選の投開票から一夜明けた15日の夜、安倍晋三首相(党総裁)は自ら携帯電話を握り、出身派閥で党内最大の町村派(清和政策研究会)への勧誘に乗り出した。かけた先は、大阪14区で敗れながら、比例近畿ブロックで復活当選した長尾敬氏。首相が町村派への入会を誘うと、長尾氏は「ご一緒させていただきます」と即答した。民主党で衆院議員の経験があり、今回が2期目の長尾氏は新人ではないが、自民党では初当選。その光景は争奪戦が激しく行われていることをうかがわせる。

 町村信孝元官房長官とはそりが合わない安倍首相、長尾氏との電話でも、首相は「では、細田さんにいっておいてね」と町村氏ではなく、町村派会長代行の細田博之幹事長代行の名前を挙げ、電話を切ったという。

 町村派には、長尾氏のほか宗清皇一(大阪13区)、谷川とむ(比例近畿)、尾身朝子(比例北関東)の新人3氏の入会が内定。この動きに焦りを募らせているのが、第2派閥の額賀派(平成研究会)だ。

 選挙前に田村憲久前厚生労働相、桜田義孝元文部科学副大臣、脇雅史前参院幹事長の3人が相次いで退会し、衆院選では林田彪元内閣府副大臣が落選。会長の額賀福志郎元財務相は現在、必死で古川康氏(佐賀2区)をスカウト中だ。佐賀選出の参院議員が2人とも額賀派だからだ。

 第3派閥で岸田文雄外相がトップの岸田派(宏池会)は、大西宏幸氏(比例近畿)の入会が内定している。

 中堅派閥ながら、麻生太郎副総理が率いる麻生派(為公会)と、二階俊博総務会長が会長を務める二階派(志帥会)も新人を確保。麻生派は大隈和英氏(比例近畿)、二階派は岡下昌平(同)と神谷昇(同)の2氏の入会が決まっている。

 石原派(近未来政治研究会)は、石原伸晃前環境相が24年の党総裁選で敗れ、かつ「最後は金(かね)目(め)でしょ」などの失言も目立ち、勢いはない。そのせいか、新人の入会予定はゼロ。

 谷垣禎一幹事長のグループ(有隣会)は、加藤紘一元幹事長の三女で、加藤鮎子氏(山形3区)のグループ入りが決まっている。