2015.01.05.

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福岡空港:第2滑走路・来年度予算に調査費計上!

空港整備費・1800億円!

北九州空港への路線誘導が条件!


 政府は、旅客数国内3位の福岡空港に2本目の滑走路を増設する方針を固めた。

 2015年度予算案に調査費や設計費を計上する。10年後の運用開始を目指す。アジア路線の就航増加などによる混雑や遅延を解消するとともに、外国人旅行客の受け入れ増を図る。

 年間旅客数1929万人(13年度)の福岡空港は滑走路を1本しか持たない。現在、ピーク時間帯には複数の旅客機が誘導路の上で待機し、日常的に離着陸の遅れが生じている。さらに国内外の航空会社から就航したいとの希望が寄せられており、今後も利用客の増加が見込まれている。

 政府は、現在の滑走路(2800m)の西側に新たな滑走路(2500m)を増設し、着陸帯や誘導路なども整備する。15年度中に埋蔵文化財調査や設計などを開始し、早ければ10年後に運用開始する見通しだ。

 空港の整備費用は約1800億円で、このうち地方自治体と民間の負担分を除いた約1200億円の大半を、空港の運営権を民間企業に売却した資金で賄う方針だ。地元自治体は運営権売却を容認する意向を示している。

 福岡空港運営検討協議会が12月27日、民間委託を容認する報告書をまとめたことで、同空港の滑走路増設は実現に向けて大きく動きだした。東北の拠点空港として今年4月、民間委託の実施方針が決まった仙台空港では、運営権者選定の事前審査に複数の大手企業が名乗りを上げており、地域の拠点となる空港運営事業への期待の高さがうかがえる。一方で、報告書は利用促進が課題の北九州空港への路線誘導などへの協力を運営権者に義務付けた。

 福岡商工会議所会頭で福岡空港滑走路増設等整備促進期成会会長の末吉紀雄氏=コカ・コーラウエスト会長=は報告書を評価した。

 地元経済界が、滑走路増設の民間負担が膨らむ「福岡空港民営化」の国のシナリオを受け入れるのは、利用増が続いている福岡空港の滑走路が増設されれば地域の利便性向上とともに、空港運営で収益が見込めると予測するからだ。

 福岡空港は、国が運営する滑走路などの航空系事業は赤字なのに対し、テナント料が入る第三セクター運営の空港ターミナルビルは黒字。民間委託されると、管制業務以外は運営権を買い取った民間が一体運営することになり、ターミナルビル経営などの黒字分を原資に、現在は全国一律の着陸料の引き下げなどが可能になる。報告書は、アジア各国で急成長する格安航空会社(LCC)などの未就航路線の誘致も有利になり、旅客増や空港収益の拡大につながり、地域振興への好循環も期待できると見込む。

 国管理空港で民間委託第1号となることが確実な仙台空港では、楽天やイオンモール、三菱地所などの大手企業が運営に手を上げており、拠点空港の将来性に期待が集まっている。

 一方、報告書は、運営権者に北九州空港への路線誘導などを義務付けることを明記した。民間委託された福岡空港に旅客が一極集中し、北九州空港を含め、他の九州の空港の便が減れば地域づくりの観点からはマイナス。九州全体の浮揚を見据えた空港運営が求められる。福岡県知事らの最終判断を経て、民間委託の条件など詳細は今後、さらに協議される予定だが、滑走路増設とともに解決すべき課題は少なくない。