2015.02.09.

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難民認定制度を悪用:偽装申請指南・ネパール人を摘発!

ミャンマーの33人・実習先を逃亡後難民申請!

申請後6カ月を過ぎれば就労できる!

難民認定申請数約5千人・何回でも申請できる!


 難民認定制度の悪用を指南していたネパール人の男(30)が入管難民法違反容疑(不法就労助長)で入国管理当局に摘発されていたことが4日、分かった。難民認定申請から6カ月を超えれば日本国内で働くことができる制度を悪用、ネパール人ら約100人に偽装申請の仕方などを教えていた。入管当局では、他にも同様の事案があるとみて調査している。

 入管当局によると、男は平成20年に短期滞在ビザで来日し、難民申請。栃木県内の工場で働きながらほかのネパール人らに難民認定の偽装申請の方法を指南、仕事をあっせんして手数料を取ることもあった。

 難民認定制度は申請が認められなかった場合、何度でも再申請できる仕組み。22年に改正され、申請後6カ月を過ぎれば就労できるようになった。男は形式上の書類をそろえて再申請を繰り返し、働き続けるよう指南していた。

 法務省によると、名古屋入管などが昨年9月、富山県のゴム製造工場で働く外国人50人を同法違反(不法就労など)で調査。その際、ネパール人16人が難民認定申請中で、うち数人の供述から男の存在が浮上。申請から半年を過ぎていないのに仕事をあっせんしていたとして入管当局は同11月、男を収容、翌12月に送還した。こうしたケースの摘発は初めて。

 法務省によると、難民認定申請数は22年に1202人だったが、26年には約5千人に達した。このうちネパール人は109人から1千人超まで急増している。

 難民認定制度は2010年、申請から半年を過ぎて審査が続いている場合、正規在留者に限って就労を認めるようになった。男はこの仕組みを悪用し、指南していたとみられる。

 男はあっせんの見返りに謝礼を受け取っていたといい、調べに対し、100人程度に偽装を指南したと説明。他にも同様の「ブローカー」が複数いることも明かしたという。

 難民認定申請者は近年急増し、昨年は過去最多の5000人前後とみられる。ネパール人は4分の1の1300人近くを占め、制度が改正された10年と比べ10倍以上に増えた。制度の在り方を巡っては、法相の私的懇談会が昨年12月にとりまとめた報告書で「申請し続ければ、長期間日本で働けると考える申請者が相当数いる。明らかに対象外の申請は抑止されるべきだ」としている。

 難民認定の偽装申請問題で、茨城県内の水産加工会社などで働いていたミャンマー人の技能実習生33人が昨年6〜12月に相次いで実習先から姿を消し、その後全員が入国管理局に難民申請していたことが分かった。

 ネパール人のブローカーが同国人に偽装申請を指南していたことが既に明らかになっており、入管当局は、好待遇の就労先に移るための偽装申請が、他の国の出身者にも広がっている可能性が高いとみている。

 難民認定制度は2010年に改正。逃亡した実習生でも、難民申請から6か月が経過すれば、実習先以外で働けるようになった。

 茨城県神栖市の監理団体・波崎国際交流協同組合などによると、同組合は13年12月〜昨年5月、計35人のミャンマー人実習生を受け入れ、実習先として県内の水産加工会社などをあっせんした。ところが、同6月に3人が失踪したのを始まりに、毎月のように数人ずつが実習先から姿を消し、病気などで帰国した2人を除く33人全員が同12月までにいなくなった。