2015.06.19.

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周永康氏死刑免れる:無期判決・中国最高人民法院!

最高指導部経験者に無期懲役!
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 中国の最高人民法院(最高裁)は、前共産党政治局常務委員の周永康被告(72)に無期懲役を言い渡した。
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  裁判は天津市第一中級人民法院(地裁)で行われ、職権乱用や国家機密漏えいでも有罪が確定したという。
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 周被告は「自分が罪を犯した事実と、(それが)党の使命にもたらした損失を認める。私は有罪であり、そのことを遺憾に思う」と述べた。
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 周被告は2012年に引退するまで、中国の最高指導部である共産党政治局常務委員会の一員だった。つまり13億以上の国民をかかえる中国という国を事実上統治する9人のうちの1人だった。
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同被告は公安部門のトップとして、警察や情報機関、裁判所や検察を動かす立場にあった。「社会的安定を守るため」との名目で、反体制派の動きを力ずくで抑え込むことも辞さなかった。
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 だが検察によれば、周被告は自らの地位を利用して他者に便宜を図る見返りに、多額の金銭を不正に受け取ってきたという。これにより、周被告と家族は巨万の富を蓄えたとされる。
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 国営新華社通信が昨年伝えたところでは、周被告は便宜供与と引き換えに多数の女性との性的関係を求めたこともあったという。
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 習近平国家主席は、汚職を取り締まる運動を大々的に展開している。今回判決が下った周被告は、汚職で起訴された初の政治局常務委員経験者となった。習近平主席としては「トラもハエも」のスローガンの通り、治安部門トップだった周永康被告(前党政治局常務委員)の裁判を決着させ、腐敗摘発で政治局常務委員経験者も例外としない姿勢を強調し、自らが固めた権力基盤を内外に誇示した。
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 同時に、死刑の適用も予想される中で無期懲役の判決とし、2017年に控える2期目党指導部人事も視野に党内の安定にも配慮を示した模様だ。
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 「罪を認め、悔いている」
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 中国中央テレビが伝えた映像では、周被告は頭髪が真っ白となり、やつれた様子だった。周被告は判決について「自分は私情のために絶えず違法行為規律違反を行ってきた」と反省の弁を述べた。治安部門トップとして恐れられた権力者の面影はなかった。
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 共産党機関紙・人民日報の評論員は、「誰であろうと憲法、法を超える特権はない」と指摘し、「反腐敗闘争は永遠に途上にある」と、腐敗摘発を継続する政権の姿勢を強調した。
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 1949年に発足した共産党政権下で、党首脳部を構成する政治局常務委の経験者が、汚職の罪で無期懲役刑を言い渡されたのは初めて。
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 周氏は上訴しない意向を示しており、刑は事実上確定した。
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 新華社通信によると、周氏に対する初公判は5月22日に開かれていた。同じく汚職で失脚した元重慶市党委書記(元党中央政治局員)、薄煕来服役囚に対する裁判と同様、公開されるかが注目されたが、犯罪事実が「国家機密」に関わるとの理由で、非公開で行われたという。
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 同法院は、周氏と妻子の収賄額は計約1億3千万元(約26億円)にのぼり、職権を乱用して家族らの企業経営への援助を要求し、21億4千万元(約428億円)の不法利益を得させたと認定。「国家と人民の利益に重大な損失をもたらした」と断じた。また、6件の国家機密を漏洩したとしている。
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 徹底的な反腐敗キャンペーンで民心をつかもうとしていた習近平政権にとって、党内で序列9位まで上り詰めた周氏は最大の対象だとみられていた。
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 中国では重大な収賄事件について、死刑が適用されることが少なくない。しかし、今回は収賄が極めて膨大な金額だったにもかかわらず、極刑は適用されなかった。
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 同法院は、周氏が罪を認めて悔恨の意を示したことや、親族が賄賂を受け取った後に事実を知ったことなどを考慮した。職権乱用や機密漏洩の罪状は極めて重いとした上で、「特に深刻な結果を招いていない」と判断したとしている。
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 “反腐敗ショー”のクライマックスになるはずだった周氏の裁判は、あっけなく幕を閉じた。法廷での主なやり取りがインターネットで公開された元重慶市トップ、薄煕来氏の裁判に比べ、透明度が大きく後退した感は否めない。
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 党内では江沢民元国家主席をはじめ、依然として周氏を擁護する勢力があり、公開裁判に反対したといわれる。習氏の周辺も、裁判で共産党中枢の腐敗まみれの実態や、権力闘争の内幕を一般国民に知らしめ、党のイメージが悪化することを警戒した可能性もある。