2015.07.19.

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中国・南シナ海:傍若無人通り越し・ギャング!

フィリピン漁船から魚を強奪!
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 アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加表明が57カ国に上り、設立を主導した中国は世界の盟主を狙っているようだが、大国としての信頼感が高まっているわけではない。中国が南シナ海で傍若無人な振る舞いを重ねている現実に、ASEAN加盟国から怒りの声が絶えない。
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 4月には、中国当局の警備船がフィリピン漁船から獲物の魚を強奪したと比政府から非難を向けられる始末。国際的な批判も意に介さず、スプラトリー(中国名・南沙)諸島周辺の岩礁埋め立ては急ピッチで進行中で、国境を接する周辺国との緊張関係は緩和されていない。
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 「わが家の庭の工事…」と主張する中国
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 「砂の万里の長城」−。ハリス米太平洋艦隊司令官がこう比喩した中国の南シナ海での岩礁の埋め立ては、広範囲に及んでいる。
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 フィリピン政府の分析では、すでに阪神甲子園球場の78個分にあたる約300haにのぼると推計される。
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 サンゴ礁が大規模に壊され、海洋環境への悪影響が心配だが、中国はまったく意に介していない。埋め立ては、自国の主権内での建設なので、他国からとやかく言われる筋合いはないとしているからだ。
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「わが家の庭で工事をしているときに他人からあれこれと指示は受けない。
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 共同通信によると、中国の王毅外相は3月8日に北京で開かれた記者会見で、「わが家の庭で工事をしているときに他人からあれこれと指示は受けない」と言い放ったほどだ。
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 埋め立ては、滑走路建設がほぼ完了し、中国当局が軍用施設を作り始めている。南シナ海は世界でも最も航行の多い海域で、海洋権を確立することは経済的な支配力の強化につながる。南シナ海で全面的な航行制限が行われれば、中東からの日本への原油を運ぶ大型タンカーの航行にも深刻な支障が生じる恐れがある。
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 4月26日から2日間の日程でマレーシアで開催された4月のASEAN首脳会議
でも、中国問題が議論の注目の的になった。議長声明で岩礁埋め立てについて、「深い懸念を共有する」との表現を盛り込んだのは、中国と領有権を激しく争うフィリピンとベトナムなどの強い警戒感が反映されたためだ。
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 会議では、フィリピンのアキノ大統領が「中国による大規模な埋め立て作業が、地域の安全と安定を脅かしている」と名指しで非難したという。
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 軋轢の原因は、岩礁の埋め立て行為だけではない。
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 比政府は、中国が実効支配するスカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺で、中国の巡視船がフィリピン漁船に銃口を向け、漁獲物を強奪したと発表した。フランス通信(AFP)によると、4月11日、中国の沿岸警備隊のマークを付けた3隻の船員らがフィリピンの漁船2隻に乗り込んできて、水揚げした魚や漁具を奪ったうえ、漁業設備を破壊したという。
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 これに対して、中国側はすぐさま公式な反論を展開した。
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 中国報道官は「フィリピン側の非難は事実ではない」と主張。「黄岩島は中国固有の領土。中国の巡視船は法に基づいてパトロールを行い、海域の正常な秩序を守っている」と正当性をアピールした。むしろ、フィリピン側に対して「中国の領土主権を尊重し、自国の漁民に対する管理と教育の強化」を要請した。
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 中国は、支配エリアに入ってきたフィリピン漁船とそれを野放しにしたフィリピ
ン政府が悪いというわけだ。
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 南シナ海の問題では、議論にさえ、とりつく島を与えないのが中国の姿勢だ。
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 今年1月にもパラセル(中国名・西沙)諸島付近で、ベトナムの漁船3隻が相次いで中国船に襲撃され、機材などを損傷したとベトナムの現地メディアが伝えた。 「違法行為」に容赦ない中国。だが、自国の漁船の取り締まりは徹底していない。
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 日本では、小笠原諸島(東京都)周辺でのサンゴ密漁問題で中国漁船の脅威を目の当たりにしたが、お隣の韓国では、海洋警察が苛烈な肉弾戦を繰り広げている。
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 中央日報によると、中国漁船の韓国水域侵犯件は毎年20万件と推計され、2010年から違法操業で韓国当局に捕らえられた中国漁船は1980隻にのぼる。中国漁船の凶暴化しており、取り締まり過程で発生した死傷者は50人を超える。
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 昨年10月には、黄海の排他的経済水域(EEZ)での違法操業の取り締まりで1
隻を拿捕したところ、周辺の4隻が集まり、激しく抵抗。約100人の中国船員が10人ほどの海洋警察に凶器を振り回し、海へ落とそうとした。威嚇射撃などが行われる切迫した状況の中、中国漁船の船長が死亡する事態となった。2011年末には、海洋警察官が中国人船員に刺されて殉職している。
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 韓国政府が中国側に取り締まりの強化をたびたび求めているが、初夏の漁のシーズンになると、大挙して漁船が押し寄せてくるのは例年のことだ。
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 米国に次ぐ世界2位の経済規模に成長した中国。しかし、尊敬されるべき大国らしさは海洋での振る舞いからはみえてこない。
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 地域の秩序を乱す中国。習政権は、人権派の弾圧を強化し、弁護士を含む200人以上が連行されている。原因は司法の不公正に対する不満を抱く陳情者らを支援してきた弁護士たちを重点に摘発が始まった。
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 中国の経済低迷に加え、株価の乱高下、これ以上進めば習政権が恐れる「経済不安や社会不安の拡大を最も恐れている」のが弾圧強化の原因だ。
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 世界が何を言おうが、まるで意に介さない。オバマ政権になり、米中の力関係が変わってきたことにも原因がある。日本も国民の意向を無視し、安保関連法案の成立を急ぐのも中国の覇権を求める姿勢が年々強くなってきたことにも起因する。
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 日米中の間で紛争が起きた場合、中国国民は習政権を応援する。中国軍が望む紛争を起こさずに、中国内の民衆が政府不満で蜂起する方に向けた方が、中国民のためだ。