2013.08.23.

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艦載機J−31:能力発揮の前に金食い虫!

J−31戦闘機・推力不足が致命傷!
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艦載機開発で「大出血」に直面!
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 中国の軍事情報メディア「太行軍事網」は5月20日、米国の月刊誌「ワイアード」の掲載情報にもとづくとして、中国が開発したステルス戦闘機「J−31(殲−31)」は艦載機とみられると紹介した。ただしエンジン性能の限界により搭載兵器に制限が出る上に航続距離も短く、艦上戦闘機としては機能しないという。
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 「艦上戦闘機タイプ」と判断できる根拠は「脚」の形状という。航空母艦に発着し、駐機中も艦が揺れることを想定せねばならない艦上戦闘機は、地上の基地を利用する戦闘機よりも、強度がある「脚」が必要だからだ。
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 「太行軍事網」は、中国が「遼寧という」6万トンクラスの中型空母を持ち、「J−31」が米国の「F−35」と同様に「ステルス艦上戦闘機」であるなら、尖閣諸島問題での対立がある日本の海上自衛隊にとって「これほどはないほど大きな圧力」になると指摘。
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 しかし記事は、「J−31」の問題点を列記。まず、中国とパキスタンが共同開発した「FC−1(梟龍)」戦闘機と同じくロシアのクリーモフが開発した「RD−93」エンジンを2基搭載していると指摘。「FC−1」も同じエンジンの推力風速で「飛行性能がはっきりと制約」されていることから、「J−31」の性能も限定的になるのは確実と主張した。
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 J−31の場合で言えば、同機の機動性はロシアの艦上戦闘機「Mig−29」と同等か、やや上回り、場合によってはステルス戦闘機「F−22」に接近するはずだ。ただし、J−31の機体形状からして、積み込める燃料は極めて少なくなる。結果として、航続距離、さらに超音速飛行を続けられる距離が大きく制約されてしまう。
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 そもそもの問題はエンジンの性能。対照的なのは米国が開発中のF−35だ。F−15はエンジンとして「F−135」を1基搭載するが、「RD−93」は、2基合計しても推力はF−135に及ばず、2基分ということで重量ははるかに超えることになる。
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 さらにエンジン搭載による機体の大型化や形状の問題もあり、J−31はステルス性、音速飛行、音速飛行時の運動性能、さらには搭載武器の制約も発生し、J−31の機体は「問題に問題が重なる」ことになったと見られる。
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 記事はJ−31について、「戦力として完全ではなく、航続距離は短すぎる。艦載機として機能しない」との見方を示した。
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 中国は、ウクライナから購入した空母「遼寧」に続き、国産としては初となる「2隻目」の空母建設に着手したとされる。しかし、艦載機開発の問題を考えれば、中国にとって空母保有は「極めて高い買い物」になる可能性がある。
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 中国が現在、「遼寧」に搭載させているのは、ロシアの「Su−33」をベースに瀋陽飛機工業集団と瀋陽飛機設計研究所(601研究所)が開発した「J−15(殲−15)」だ。その他、瀋陽飛機工業集団が自己資金で開発中の「J−31」もステルス艦上戦闘機と見られている。
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 中国の軍事情報メディア「太行軍事網」は、J−31は艦上戦闘機として役に立たないと同時に、中国の現状では、艦上戦闘機開発が「極めて高くつく」と論じる記事
を掲載した。
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 艦上戦闘機は「搭載できる武器の量と質」、「長大な航続距離」などの諸要求を満足させねばならず、開発にはそもそもコストがかかる。しかし中国が現状で保有している空母は、「遼寧」1隻だ。
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 艦上戦闘機の価格を「経済的に引き合う」水準まで落とすには、空母を最低でも5、6隻は保有せねばならないという。さまざまな性能を持つ艦上戦闘機を開発しようとしたら、米国と同程度まで空母保有数を増やさねばならない。
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 「太行軍事網」は触れなかったが、中国の場合、艦上戦闘機を他国に売却することも、そう簡単ではない。
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 これまで中国は国防費を急速に増やしてきたが、経済の減速がはっきりとした現在、従来のように豊富な資金を航空機開発に回せるかどうかにも、疑問が残る。
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 1991年に旧ソ連が崩壊した一因は、米国に対抗するあまり軍事費を多く割きすぎたこととされる。旧ソ連は1970年代から固定翼機搭載の空母を次々に建造したが、90年代に相次ぐ退役、あるいは建造中止を余儀なくされた。現在ロシアが運用中なのは、アドミラル・クズネツォフ1隻だ。
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