2015.09.07.

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世界同時株安:中国から資本逃避の兆候・中!

世界は中国の出方を見ている!
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 輸出の大幅な落ち込みと予想外の人民元切り下げ、上海株の度重なる急落などに端を発した中国発の世界同時株安は、G20の重要な議題となっている。
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 従来なら、議題に乗せる事さえ内政干渉と拒んできたが、今回は当の中国も責任を痛感したのだろう。李克強首相は、8月28日の国務院の会議でも、「金融の安定は経済全般に関わる。地域リスク、システミックリスクを発生させないという最低ラインを守る」と強調したという。現状についても「(中国の)経済運営は新たな圧力にぶつかっている」と率直に認めたとされる。世界が中国経済の実態に疑心暗鬼になっている時だけに、そうした姿勢は評価してよい。
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 だが、具体的な処方箋となると最良案がない。さらなる金融緩和は人民元安を招き中国から資本の流出を加速しかねない。過剰設備問題の引き金になったインフラ投資を一段と積極化するなど、いずれも中国が抱える矛盾を増幅するような施策しか、李首相は打ち出せなかった。
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 中国リスクで、世界同時株安が世界同時不況や世界的経済危機に発展させるリスクが最も高いのは、中国からの資本の逃避だ。資本逃避の懸念から、世界的な危機に発展した前例としては、1997年7月にタイ発で始まった「アジア通貨危機」が記憶に新しい。今の中国は、経済の低迷をきっかけに世界的な貿易縮小を招くリスクも抱えているが、資本の逃避はそれより短期間で危機を増幅させる。
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 その兆候は、貿易黒字にもかかわらず、中国の外貨準備高が大きく減少し始めている。今年7月末の外貨準備高は3兆6500億ドルと、2014年12月末に比べてわずか7カ月で1900億ドルも減少した。一方、同じ時期の中国の貿易黒字は3060億ドルで、この半分の規模の経常黒字があったとすると、中国の外貨準備は1500億ドル強増えていなければならない計算だ。1900億ドルの減少は異常事態と見て取れる。
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 原因として考えられるのは、株の下落を抑えるために買い支えに回ったものもあるだろうし、統計そのものが出鱈目なのか、いずれにせよ、国内経済の反落を小さく見せるために使用したことを隠しているという事だ。現実の外貨準備高が本当はいくらあるのか統計が正しいのか実際は良くわかっていない。。
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 外国の進出資本は、こうしたリスクに敏感だ。放置すれば、実体経済を大きく揺るがす危機に発展しかねない。
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 アジア危機以来、各国は金を備蓄し自国通貨の信認を高める努力をしてきたし、国際的な資金融通の枠組み整備にも努めてきた。しかし、中国は世界第2の経済規模を持つ。既存の枠組みは、資本流出の危機が現実化すれば、十分とはいえない。アンカラで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議は、そうした中国危機のシナリオに対して、十分な協調姿勢を持ってあたろうとしているが、声明で「金融政策のみでは均衡ある成長に繋がらないだろう」との懸念を示し、構造改革に取り組む重要性を確認したにとどまった。。
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 構造改革を強く求めても、自動車や鉄鋼などの過剰設備の解消は強行にできても、
肝心な不良債権処理や国有企業の民営化をどうするのか、見通しは不透明だ。
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 外国企業は「長い目で見るか」「短期で見るか」資本の引き上げ時期を見定めようとしている。
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