2015.09.27.

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中国・外貨準備高:939億ドル減の3兆5570億ドル!

国民は資産保護に動き出している!
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 中国人民銀行が9月7日に発表した8月の外貨準備は939億ドル減の3兆5570億ドルと、過去最大の減少を記録した。人民銀行が、資本逃避による人民元の下落と格闘した結果である。
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 中国がこの闘いをいつまで続け、そしてどのような手段で行うかによって、中国と世界経済への影響は大きく左右される。
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 中国を離れた資金がどこに向かって何を買うか、またそうした資金の所有者に資産を売却する人々がその代金をどう使うかも大きなインパクトをもたらす。世界の金利を変化させ、ひいては金融資産の価格も動かす可能性を秘めているのだ。
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 資金が中国から逃げ出す理由は様々だ。人民元のさらなる切り下げや中国資産の下落を心配し、より良い投資先を求めて海外に向かう個人もいるだろう。汚職摘発や法律の適用などを恐れる人々は、身を守るためにロンドンやニューヨーク、ハワイ、カナダなどの不動産や、高級美術品を買う場合が多い。
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 こうした資本逃避が市場にどう影響するかを見る上では、中国が史上最大の外貨準備を積み上げた方法と理由、そしてその過程で何を買ったかを思い出すことが重要だ。外貨準備の積み上げは主に、人民元価格を押し下げて輸出を促進しようとした結果起こった。そうするために中国は、輸出で稼いだドルの多くを抱え込んでおく必要があった。人民銀行は保有するドルで最大限の運用利益を上げようとしたのではなく、単に経済政策や為替管理を目的としていた。その結果として中国は米国に対する最大の債権国となり、最低でも1兆5000億ドルの対米債権を抱えている。
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 従って現在のように中国から資金が逃避すると、人民銀行は元の下落を容認するか、あるいは大半が米国債である外貨準備を売って元の安定を図ることになる。人民銀が売却したドルを手にした人々はそれを国外に持ち出す。国外逃避の大半は規制破りの形で起こるが、起こることには変わりない。
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 ドルの量は変化しないが、ドルの新たな保有者が購入する物には大きな開きが出そうだ。一部の資金を米国債に投じる中国人もいるだろうが、多くは不動産や美術品などの資産を買うだろう。
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 中国が秩序なき資本流出から経済を守るために外貨準備の大幅な取り崩しを迫られるようなら、「米国のタームプレミアム(期間に伴う上乗せ金利)に顕著な影響をもたらしかねない」と指摘した。
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 「しかしこれは、流出した資金がどの資産に向かうか次第でも変わってくる。中国の民間部門が米国債を買い、公的部門が米国債を売る場合には、中国の対外資産が公的部門から民間部門に移ったにすぎない。現実世界では、そんな完璧なマッチングは考えにくい」と分析している。
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 それでは、ピカソや高級マンションの売り手が何に資金を回すかだ。彼らとて、新たに手にした現金の束を米国債だけに投資しようとは思わないだろう。この結果、米国債の需要は減り、金利、とりわけ長期金利の上昇を招きそうだ。
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 10年物米国債利回りが、世界で最も重要な価格と呼ばれることである。これには理由があって、米国債は他の金融資産の価格に特別な影響をもたらす。米国債価格が上昇すればするほど、リスク資産の価格は相対的に割安感を増す。逆もまた真なりだ。
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 北京大学HSBCビジネススクールのクリストファー・ボールディング准教授は「状況証拠から見ると、市場は落ち着きを取り戻すどころか、人民元相場の安定とは反対方向にますます賭けるようになっている。資本逃避のペースは加速しているようだ」と記している。
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 中国当局がどのような方法で資本流出を阻止しようとするかだが、そうした対策の多くは資本逃避に拍車を掛けるだけかもしれない。
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 個人資産の防衛に関しては、まるで政府を信用していない中国の人民。中産階級が個人資産保護のため、外国に富を分散している。オーストラリアであり、カナダであり、台湾であり、日本であり、米国だ。都合が悪くなればデノミを実施すれば良い訳で、隠れ資産を掘り起こすのには便利だ。