2015.10.21.

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中国GDP発表:低水準で不良債権・深刻に!

習政権“打つ手なし”! 
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次期5カ年計画目標1%下げも!
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 世界経済にとって最大級のリスク要因となっている中国の景気動向が一段と不透明感を増した。成長鈍化に対応しようと習近平政権は昨年来、5回に及ぶ利下げなど金融緩和策を続け、8月には輸出促進目的とみられる人民元の事実上の引き下げも行ったが、効果を上げていないことが7〜9月期の統計値で裏付けられた。
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 中国経済は、輸出入あわせて9月まで7カ月連続の前年同月比マイナスを記録し、9月の消費者物価指数(CPI)は同1・6%の上昇と8月を0・4ポイント下回ってデフレ懸念もささやかれるなど、外需も内需も力強さを欠く。新たな公共投資など緊急景気対策への期待感もあるが、処理の先送りが続く不良債権問題をさらに深刻化することを警戒する習政権には打つ手がないといったところだ。
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 中国国家統計局の盛来運報道官は19日の記者会見で「世界経済の変調で貿易が伸び悩んだほか、国内の構造改革がなお進行中なことなどが理由だ」と、成長鈍化の理由を説明した。ただ、同日付の中国紙、第一財経日報によると、盛氏は統計発表の前には「仮に今年の成長率が6・5%に終わっても政府目標の『7・0%前後』は達成したといえる」と弁明していた。
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 市場の関心は今後、習政権が初めて「経済5カ年計画」を策定する中国共産党の重要会議である「第18期中央委員会第5回総会(5中総会)」に移る。2016年から20年までの5年の経済計画が、現行の15年までの年平均7・0%増からどの程度引き下げられるかで世界経済への影響を予測する必要がある。「5中総会」は26日に北京で開幕する。
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 成長鈍化路線にギアダウンして構造改革を進める習政権の「新常態」宣言の本気度を示すには、成長目標を年平均6・0%など1ポイント以上は落とすべきだとの声も市場で聞かれる。
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 中国国内の産業拡大が飽和状態に近づく中、周辺国へのインフラ輸出で成長を確保する戦略転換も急務。習政権は経済政策のかじ取りで“待ったなし”に追い込まれている。
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 米財務省は19日、主要な貿易相手国・地域の為替政策に関する半年に1度の報告書を発表した。
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 中国の通貨・人民元について「中期的に適切となる価値を下回っている」と指摘し、引き続き対ドル相場が上昇するべきだとの認識を示した。ただ、2010年以降、対ドルで約3割上昇したことから、「著しく過小評価されている」としていた今年4月までの判断は改めた。
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 今年8月に中国が人民元の対ドル相場を切り下げ、市場が動揺したことにも触れ、定期的に為替介入の実績を公表するなどして為替政策の透明性を高めるよう注文した。
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 中国経済は「より明白な減速を示している」と指摘。投資主導から消費重視の経済に移行する必要性を強調した。
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 日本銀行は19日、3か月ごとにまとめる地域経済報告(さくらリポート)を発表し、全国9地域の景気判断について、いずれも7月の前回報告から据え置いた。
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 ただ、自動車や電機などの輸出産業が集まる東海や関東甲信越、近畿の3地域については、「輸出や生産に新興国経済の減速の影響がみられる」との表現を盛り込み、中国経済の先行きに警戒感を示した。
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 判断を据え置いたのは、好調な業績を背景とした企業の設備投資の活発化や、所得増による個人消費の持ち直しが、新興国経済の減速の影響を補っているとみているからだ。
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 訪日外国人の活発な消費も、地域経済を押し上げているとみている。19日の支店長による記者会見では、中国経済の失速が鮮明になる中で、中国人による「爆買い」は「旺盛で、目立った変化はない」との声が上がった。