2015.12.24.

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日本の輸出数量が急回復:実質・3か月連続増加!

輸出が牽引役!
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 日本の輸出数量が、急回復の兆しを見せている。日銀の実質輸出は11月まで3カ月連続で増加、内閣府試算の数量指数も拡大している。輸出数量の伸びは生産押し上げに直結するだけに、10─12月の国内総生産(GDP)は、輸出がけん引役となってプラス成長を達成するとの期待感が政府・日銀で台頭してきた。
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 実質輸出は8月まで一進一退だったが、9月以降は1、2%台のしっかりした伸びが続いている。10、11月の平均は7─9月平均よりも3.4%伸びた。
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 内閣府の数量指数でみると、米国向けは10、11月の平均が7─9月を0.4%下回っているが、EU向けが8.7%増、アジア向けは同2.6%増となり、全体を押し上げている。
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 利上げを決断した米国では個人消費が堅調とみられているが、日本からの米国向け輸出は低迷している。シェールオイル開発を含む鉱業や製造業部門は停滞色が強まっているためだ。
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 一方で、アジア向けは新型iPhone向けなど電子部品や半導体製造装置などが、生産・出荷を押し上げている。
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 輸出数量がようやく安定した伸びとなってきたことから、政府・日銀では10─12月期の景気けん引役は、輸出と生産になりそうだとの期待感を高めている。
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 また、政策効果によって中国経済にも底打ち感が出てきたとの見方も出てきている。複数の自動車メーカーによる生産の国内回帰や新型車の投入などで、年明け後も輸出はしっかりした展開が続くと政府・日銀は展望。想定通りに中国など新興国経済が減速から脱してくれば、2016年は輸出・生産が、次第に加速してくるとのシナリオを描いている。
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 民間調査機関でも、実質輸出の回復傾向を受けて「日本の輸出は第4・四半期に入って持ち直してきた。堅調な欧米の内需が日本の欧米向け輸出を押し上げている。また、ITデジタル機器の世界的な生産拠点であるアジア地域で生産増をもたらし、日本からアジアへの部品や部材などの輸出増加につながっている」(BNPパリバ証券)との分析結果が出ている。
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ただ、こうした輸出環境の改善が持続するのか、弱気派の見方も残存する。農林中金総合研究所は「米国は先駆けて利上げに転じたが、足元の原油安が長期化した場合の影響も含め、世界経済に内在する下振れリスクを警戒する必要がある」と指摘。
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 中国経済は底割れの事態は回避されているが、成長率が減速方向にあることに変化はなく、その余波がアジア諸国などに及んでいくインパクトを軽視できないとの声もある。
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