アクセスカウンター
   2017.10.16.
 神戸製鋼データ改竄:稼ぎ頭のアルミで“火の手”!
   
.
コンプライアンス意識が低い!
.
.
 性能データ改竄問題で、神戸製鋼所の成長戦略が大きく揺らいでいる。同社は経営多角化を進め、成長の柱と位置づけるアルミをはじめ、鉄鋼以外の事業も熱心に育成してきた。
.
 しかし問題が拡大するなか、事業活動への影響は広範囲に及びかねない。変化に強く、安定しやすい多角経営の強みは失われつつある。
.
 神戸製鋼は鉄鋼、アルミ・銅、建設機械、電力など、7事業を傘下に抱える。なかでもアルミ・銅事業の経常利益は、直近の平成29年3月期で120億円。電力と並ぶ稼ぎ頭だ。
.
 環境規制強化やエコカー普及で自動車の軽量化ニーズが高まり、鉄より軽いアルミの需要は増している。
.
 神戸製鋼は32年度までの中期経営計画で、自動車を含む輸送機器の軽量化関連で1千億円規模の投資を想定。このうち確定済みの約680億円はすべてアルミ関連だ。そのアルミで受注を失えば打撃は大きい。
.
 川崎博也会長兼社長は10月12日、アルミに集中投資する戦略に変化はないとしつつも、「顧客の検証結果や意見にも左右される。影響がないとは言い切れない」と危惧した。
.
 しかも不正は鉄粉や子会社でも発覚し、コンプライアンス意識がグループ全体で低いことが露呈。問題を起こしていない事業も含め、全社的な信用低下は避けられない。
.
 経営陣が多すぎる事業を目配りできていないとの指摘もあり、今後は経営体制を含む戦略の抜本的な見直しを求められそうだ。
.
 10日の東京株式市場で、神戸製鋼所株に売り注文が殺到し、取引が成立しない状況が続いている。同社はアルミ製品の強度などで、性能データを改竄していたと8日に発表しており、業績への悪影響は必至とみて、売りが大きく先行した。
.
 気配値は前週末に比べ300円安い1068円まで切り下げられている。10時の段階で、買い注文170万株程度に対し、売り注文が約2700万株となっている。
.
 8日に神戸製鋼所がアルミ製品の強度などの性能データを改ざんしていたと発表した後、日産自動車とSUBARU(スバル)、マツダが、神戸製鋼製アルミを自動車に使っていたことを相次いで明らかにした。さらに、鹿児島県の種子島宇宙センターから10日に打ち上げられたH2Aロケットに使われていたことも新たに判明するなど、問題が自動車メーカーから鉄道、航空宇宙分野まで広がりを見せている。
.
 「線材の神鋼」「自動車の神鋼」とも呼ばれる神戸製鋼所。同社の品質データ改ざん問題は一段と範囲を広げ、アルミ・銅製品だけでなく主力事業の鉄鋼部門の線材にも及んできている。
.
 同社は10月13日夕刻、川崎博也・会長兼社長が記者会見を行い、8日公表の一部アルミ・銅製品、11日公表の鉄粉、ターゲット材に加え、新たな改ざんがグループ会社で9件確認されたと公表した。
.
 対象となる納入先企業はこれで約500社に達した。守秘義務があるとして具体名は明らかにしなかったが、海外企業も含まれている。また、実際には使われていないが、東京電力の福島第二原発にもデータをねつ造したチューブが納入されていたことも判明した。
.
 新たに発覚した改ざんには、鋼線やステンレス鋼線が含まれる。いずれも神鋼が看板とする線材製品だ。
.
 内部調査はまだ進行中であり、今後さらに改ざん対象が広がる可能性がある。1カ月以内に機械や電力事業を含む全社・全部門の調査を行い、原因分析と対策を発表する方針というが、それで本当に全容が解明するかは疑問。約10年前から改ざんしていた例も判明しており、過去にさかのぼってどこまで事実を解明できるかは定かでない。
.