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   2019.02.14.
国営NZ航空機:上海空港着陸不許可! 
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ファーウェイ製通信機器締め出しの報復措置か!
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  ニュージーランド(NZ)は、かつて保守党政権時には最も中国寄り政策をとり、先進国の中で最初に中国との二国間自由貿易協定を締結していた。しかし、2017年から労働党政権に代わって以降は、中国よりむしろ日米寄りの政策に転向している。
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  そこで、“ファイブ・アイズ(機密情報共有協定、注後記)”の同盟国でもあることから、米国からの機密情報漏洩阻止のため中国社製通信機器を使用しないようにとの要請を受けて、次世代5G通信導入に当りファーウェイ製品不採用を決定した。その報復措置かどうか不詳ながら、この程、国営NZ航空機が上海空港に向けて就航したところ、着陸許可が下りずに本国に引き返すという事態が発生している。
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  2月10日オークランド発上海行きの国営NZ航空289便は、4時間半から5時間ほど飛行した後、同機の登録ミスが発見されたとして、途中でNZに引き返した。
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  この事態に対して、ジャシンダ・アーダーン首相(労働党々首、2017年10月首相就任、38歳)は2月11日、本件はNZ・中国間の政治的関係等には一切関わっていないとした上で、従って、このことで中国側に説明等を求めるつもりもないと、政治問題化させないよう、すぐさま火消しのコメントを発表した。
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  NZは、かつて保守党政権時代、最も中国寄りの政策を執っていて、2008年には先進国の中で最初に中国との二国間自由貿易協定を締結した。以降中国はNZにとって最大の貿易相手国となっている。
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  しかし、2017年10月に労働党政権に代わって以降、むしろ日米寄りの政策に転換しつつある。
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  そして、“ファイブ・アイズ”同盟国でもあることから、米国の要請に応えるかのように、NZ情報機関(政府通信保安局)が昨年11月、通信機器大手スパークNZ(旧テレコムNZ)に対して、次世代5G通信用にファーウェイ製通信機器を採用することを止めさせている。
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  なお、今回のNZ航空機引き返しの事態に対して、中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は2月11日の定例記者会見で、同機が上海空港着陸に当って、中国法上必要な登録がなされておらなかったことについてNZ航空側が気付いて、途中で本国に引き返したものと理解している、とのみコメントした。
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  一方、アーダーン首相は2月11日、2017年に就任以来、訪中した上で習近平国家主席と会談するとの公約がなされていないとの記者からの質問に対して、中国側から招待を受けているが、日程が合わないために具体化していないだけだと回答している。
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  航空関係者の情報では、今回のNZ航空上海行き289便が、途中で本国に引き返すことになったのは、2018年4月の中国民用航空局による、“台湾”を独立した国だとウェブサイト・パンフレット等で表記しないこととする要求に対応していなかったことだという。
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  アーダーン首相がコメントしているように、今回の問題は確かにNZ・中国間の政治的問題に起因しているとは言えない。
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  しかし、商業用航空機の問題とは言え、台湾を中国の一部とする“一つの中国”政策を推し進める中国は、台湾と“国交”する諸国に対して露骨な対応をしていることは確かなことである。
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  おまけに、当該289便に使用されたボーイング787-9型機は、昨年11月から就航を始めたオークランド~台北線に登用されており、今回偶々上海空港行きに使用されたものである。
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  なお、NZ航空は、手続きミスのために上海空港行きを途上で止めて引き返し、オークランド発の代わりの便を仕立てたとコメントしている。
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【ファイブ・アイズ】
米、英、加、豪、NZの5ヵ国の諜報機関が世界中に張り巡らせた通信等傍受の設備や盗聴情報を、相互利用・共同利用するために結んだ協定。まず、1946年に米国家安全保障局と英政府通信本部が同協定を締結し、1948年に加通信保安局、1956年に豪参謀本部国防信号局とNZ政府通信保安局がそれぞれ加盟。
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