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   2019.03.04.
 投資最大手・中国民生投資集団:デフォトに!
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約486億円の債務支払い遅延!
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 中国の民営投資最大手である中国民生投資集団(CMIG、以下は中民投)はこのほど、債務不履行(デフォルト)に陥ったことが明らかになった。
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 報道によると、1月29日に満期日を迎えた人民元建て債券の返済が滞っているという。総額30億元(約486億円)。
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 中民投の現在の社債規模は533億元(約8634億円)で、その大半が年内に満期日を迎えるという。
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 中国メディア「澎湃新聞」などによれば、上海証券取引所は2月12日、中民投が発行する3つの銘柄の社債について、最近取引価格が急変動したとして、一時取引中止との措置を取った。3つの銘柄のうち、「17中民G1」は11日の取引中、約30%急落した。17中民G1の発行規模は44億8000万元(約726億円)。過去10営業日において、同銘柄の相場は約50%落ち込んだ。
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 再生可能エネルギーや不動産などの投資を手がける中民投は2014年5月、中国国内59社の大手民営企業からの出資を受けて発足した。資本金500億元(約8100億円)。「中国のモルガン・スタンレー」との異名を持つ。
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 中民投の債務返済圧力が強まるなか、上海金融法院(金融商事案件を取り扱う地裁)は、中民投が保有する傘下不動産関連子会社、中民嘉業投資有限公司の約83億2800万元(約1349億円)株式を差し押さえると発表した。期限は2022年1月31日まで。
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 中国当局の債務削減政策によって中民投が資金調達難に陥ったことや近年の事業急拡大が主因だとみられる。
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 大手民営企業59社が出資する中国最大規模の民営投資会社・中国民生投資(中民投)が2014年9月10日に発足した。同社が巨額の資金を動員することで、民営企業の育成や業界再編、地域経済の構造改革などに役割を果たすことが期待されている。さらに、中国の対外投資が急増する中、同社は民営企業の海外M&Aに対しても支援する計画だ。
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 企業債デフォルトは実は、昨年あたりから頻発しているので、ある意味、中国人も慣れてきていた。しかし、今年(2019年)に入って、中国最大の民営投資企業集団の社債がデフォルトして、その灰色の犀が思っていた以上に狂暴であることを再認識させられた。
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 2018年、民営企業の社債デフォルトは2018年に42社118件で総額1200億元規模にのぼ
っていた。もはやデフォルトラッシュといっていいぐらいで、社債デフォルトにはちょっと慣れかけていたのだが、この中民投のデフォルトは衝撃度が違った。
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 中民投は、中華工商業聯合会という中国最大の民間企業商会の後押しを受けて、中国の大民営企業59社がそれぞれ2%を超えない範囲で出資する形で、国務院の批准を得て2014年に設立された民営企業の希望の星である。資本金500億元。総裁の李懐珍は、中央銀行や銀行監督管理委員会、民生銀行の幹部を務めた人物で、民営とはいえ、政府の全面的バックアップを得ていた。中国版モルガン・スタンレーなどとも呼ばれ、当初は「民営企業の育成や業界再編、地域経済の構造改革などに役割を果たす」などと、大いに期待が寄せられていた。
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 2016年までには資本総額は3100億元を越える規模に急成長、「秒速で稼ぐ企業」などともいわれた。そんな大企業が社債デフォルトとは、中国の民営経済がどれほどいびつで行き詰まっているのか、ということを世界中に知らせてしまったことになる。
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 中民投は当初は太陽エネルギーパネル、鉄鋼物流、船舶の3分野に投資してきた。これらは中国の“過剰産業”だが、中民投はこうした過剰産業の企業整理を促進する役割も担わされていた。
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 太陽光パネルへの投資は、中国ネットニュースサイト「澎湃新聞」によれば、この5年で1500億元、発電設備の出力に換算すると20GW(ギガワット)という。2015年には寧夏に世界最大の単体太陽光パネル発電所を建設するプロジェクト(2GW規模)に150億元を投じた。その年の寧夏全域の太陽光発電量指標は、わずか600MW(メガワット:1GW=1000MW)程度である。それに対して、2016年6月に1期工事が終わった段階での寧夏送電網における電力生産能力規模は、380TW(テラワット:1TW=100万MW)と寧夏日報は報じた。あの砂漠のど真ん中で、そんなに電力が必要だったのか。
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 中国政府の太陽光発電への煽りもあり、中国民生投資集団も前のめりで投資を続けた。
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 2018年、国家発展改革委員会、財政部、国家エネルギー局は、突如、中国の太陽光発電関連産業の発展に急ブレーキをかけるような通達を次々と発表する。1200億元の補助金不足が発覚したのをきっかけに、政府としても太陽光バブルを弾けさせるほかなかったのだ。
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 一番影響が大きかった通達は、2018年6月の「進行中の太陽光発電所建設の計画をすべて一時棚上げする」というものだ。補助金はほとんど削減され、太陽光発電の電力の全面的値下げ、全面整理を通達した。これにより中国の太陽発電市場は1000億元規模も縮小、ほとんどの太陽光発電関連工場が停止し、関連企業がばたばた倒産に追い込まれた。太陽光発電関連産業は暗黒期に突入したのである。中民投は国家の電力政策にあおられて、梯子(はしご)を外された格好だ。
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 これでは倒産へ一直線で落ちるしかない。
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 間もなく全人代が3月5日に開催される、李克強首相による2019年の経済成長率や財政収支、インフレ、マネーサプライ(通貨供給量)、与信拡大の目標などの概要を盛り込んだ報告で始まり、李首相の記者会見で15日に閉幕する。主要閣僚や中国人民銀行(中央銀行)幹部による記者会見も行われる予定。
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 指導部はいくつかの対策を打ち出して懸念の払しょくに努める見通しだ。 が、はたしてどのような対応策が出るのか。
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