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残骸でISSのリスク増大・米NASA長官!
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米航空宇宙局(NASA)のジム・ブライデンスタイン長官は4月1日、インドが実施した対衛星ミサイル実験によって軌道上に少なくとも400個の残骸が発生し、国際宇宙ステーション(ISS)とISSの乗員が危険にさらされていると語った。
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ブライデンスタイン長官によると、追跡できる大きさの残骸はこのうち60個ほどしかなく、うち24個は、ISSが軌道上で地球から最も遠ざかる遠地点の上空に到達しているという。
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長官はNASAのタウンホールミーティングで、「残骸をISS上空の遠地点に到達させるような事態を引き起こすとは恐ろしいことだ」「人類の宇宙飛行の未来とは相いれない」と批判。「我々の国民を危険にさらすような軌道上デブリ場の形成は容認できない」と強調した。
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インドのモディ首相は3月27日、低軌道衛星を地上発射式の対衛星ミサイルで撃ち落とすことに成功したと発表していた。インド外務省は声明の中で、宇宙ごみを発生させないよう、実験は下層大気中で実施したと述べ、「発生する残骸は崩壊して数週間以内に地球に落下する」と説明していた。
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これに対してブライデンスタイン長官は、インドが実験を行った後の10日間で、小さな残骸が衝突するリスクは44%増大したと主張。人類が宇宙で行うあらゆる活動が、こうした事態によって危険にさらされると述べ、「一国が実施すれば、他国もやらざるを得ないと感じる」と指摘した。
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NASAでは軌道上にある10cm以上の残骸2万3000個あまりを追跡している。その多くは、2007年に中国が実施した対衛星ミサイル実験や、2009年に起きた米国とロシアの通信衛星の衝突によって発生した。
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3月27日にインドが行ったミサイルによる人工衛星破壊実験は、インドにとっては"宇宙大国"を高らかに宣言するためのものだったかもしれないが、国際社会においては宇宙空間に大量のデブリをまき散らす迷惑行為でもある。
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飛散した衛星の残骸はスペースデブリとなり地球の周りに漂い、当初は国際宇宙ステーションに危険を及ぼすことはないとみられていたものの、NASAのジム・ブライデンスタイン長官は、衛星の破壊はISSの飛行士を危険にさらす「非常に恐ろしいことだ」と述べた。
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破壊直後の時点で270個以上が数えられたデブリは、その後確認されただけでも少なくとも400個以上にのぼり、うち60個は6インチ(約15cm)以上の大きな破片となって地球の周りに漂っています。衛星の高度はISSの軌道より低い位置であったことから、破壊の影響は少ないとみられ、インド政府はデブリは数週間以内に地球に落下するだろうと説明しました。
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しかし、大きく拡散したデブリのうち少なくとも24個以上はより高い高度に達し、潜在的にISSのリスクとなっていることが確認されており、NASA長官は「このことは到底受け入れられないものであり、NASAは影響範囲を見極めなければならない」とコメント。
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「宇宙飛行士らは直ちに危険に見舞われるわけではなく、もし必用であればISSを操縦して破片を避けられる」とNASA長官はコメントし「良い面としては、デブリの多くが時間の経過とともに高度を下げて消滅することだ」と述べました。
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2007年には、中国がやはりミサイル実験として人工衛星を破壊しました。このときはインドの衛星よりも高高度だったため、そのデブリはいまだに地球を周回し、ほかの衛星や宇宙ミッションの脅威となっています。各国はスペースデブリを除去するための技術開発に取り組んでいるものの、実用化された例はまだありません。
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大量にスペースデブリが放出されたとき最も恐れられるのが"ケスラーシンドローム"と呼ばれる連鎖反応。これはデブリがほかのデブリや人工衛星などに衝突してさらに大量のデブリを発生させ、収拾がつかなくなってしまう現象のこと。
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NASA長官は「これは環境破壊行為であり、飛行士の安全な宇宙飛行とは両立しないことを明確にしなければならない」とコメントしました。
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