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   2024.01.04.
熊本地震・復興特需:600社が総額45億円申告漏れ!
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270社が所得隠し!
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 熊本地震が発生した2016年4月14日(前震)・16日(本震)から8年。ともに最大震度7を観測した大地震は、死者273人・重軽傷者2809人という人的被害に加え、建物も全壊8667棟を含む20万棟以上が破損するという甚大な被害をもたらした。
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 2024年1月1日午後4時10分、石川県能登半島輪島沖でM7.6の大規模地震が発生した。熊本地震の5倍強とも言わる構造地震だ。輪島市、珠洲市、志賀町、七尾市、穴水町、能登町など各地に壊滅的被害を発生させている。道路も寸断され、被害状況はいまだ正確に判明していない。
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読売新聞1月1日号に
 2016年4月の熊本地震の復興特需で、売り上げを伸ばした法人約800社が熊本国税局の一斉調査を受け、約600社が総額約45億円の申告漏れを指摘された。うち約270社が売り上げを除外するなどして、計約27億円の仮装・隠蔽を伴う所得隠しと認定された。巨額の復興マネーが被災地に注がれるなか、税逃れを図る企業の実態が浮き彫りになった。
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申告漏れと所得隠しの構図
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 熊本地震に関する集中的な税務調査は初めて。熊本地震では、熊本県益城町で9割の家屋が損壊するなど住宅や道路、鉄道などに甚大な被害が出た。国や県などが発注する復旧・復興工事が急増し、建設業界を中心に特需となった。
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 関係者によると、一斉調査は21年6月までの2年間、熊本国税局管内の熊本、大分、鹿児島、宮崎各県に所在する企業に対して行われた。対象は被災した建物の解体や修理・建設のほか、道路などのインフラ整備や墓石の修繕を行う企業で、工事関係者が宿泊していた旅館や、飲食店を経営する法人も含まれている。
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 申告漏れを指摘された企業の多くは熊本県内の建設関連の企業。売上金を帳簿に記録しなかったり、社長ら個人名義の口座に振り込ませたりしていた。取引先に虚偽の請求書を作成させ、架空の外注費を水増しして計上したケースも確認されたという。
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 「復興関連で急激に売り上げが伸び、納税額が高額になる可能性があるので不正を行った」「特需がいつまで続くかわからず、とりあえずプールしていた」。約600社の担当者らは調査に対し、このように説明。単発の補修工事で現金決済の取引が多く、「個人的なことに使ってしまった」と話す関係者もいたという。
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 追徴税額は重加算税などを含む法人税や消費税の計約13億円。指摘を受け、大半が修正申告や、期限後に申告して納付を済ませたとみられる。
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 九州南部の建設会社は、21年度の調査で約5億2800万円の申告漏れを指摘された。復旧に向けた土木工事で売り上げを伸ばして多額の利益を得たが、納税地と届け出た登記簿上の所在地に事業実態がなく、社長名義の生活口座で売り上げを受け取っていたことが判明。架空経費を計上するなどして内容虚偽の帳簿を作成して赤字を装っていたことも分かった。
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 申告漏れの一部が仮装・隠蔽を伴う所得隠しにあたると認定され、重加算税を含む法人税など約2億1300万円が追徴課税された。
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 熊本地震の復旧・復興で熊本県が投じたのは、予算ベース(16年度~23年度当初予算)で1兆491億円に上る。うち道路や河川などのインフラ関連は約3627億円。国や自治体が発注する工事などもあり、建設業界を中心に大きく利益を伸ばしたとみられる。
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 一斉調査では、復旧・復興工事に参入した熊本国税局管内以外に所在する企業にも、申告漏れの疑いのあることが相次いで浮上。同国税局は管轄する国税局側に情報を提供した。
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 今後、関西・中国地方から応援出張した業者にも調査が及ぶことになるだろう。
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政府も能登半島地方を激甚災害地区に指定し、地方交付税や災害復旧費が計上される。工事の内容次第では、石川・富山・名古屋各県の大手業者が災害復興の泡をめがけて乗り込み激しい受注合戦が始まるのだろう。
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